REVERコラム

至言じゅんかん『自然資本って、何?』

廃棄物処理業・資源リサイクルのリバーグループの堀口です。

「資本」と言うと、貸借対照表の資本/資本金のことや、資本主義という言葉を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。この言葉に、全くの対極にある「自然」をかぶせて合体させているのですから、怪しげな経済用語のように聞こえます。
そもそも資本とは、事業活動をするための元手となるもので、通常は金銭の他、土地や工場設備などを指しています。もちろん、会社の所有物です。したがって、自然資本というのであれば、例えば農業法人が持つ田畑であったり、材木を生産している社有林か何かのことなのだろう、と想像される方もいるかもしれません。ところが、自然資本とは会社の所有物であるかどうかは問題ではなく、事業活動を行う上で依存、採取している自然の産物であって、利用するにあたって現状コストを負担していない物も含んでいます。それが「資本」だというのですから、当然違和感があります。
それでもあえて「資本」というのはなぜでしょうか。それは、「個社の固有のものではなく、社会全体で共有しているとはいえ、各社が事業活動の元手として使っていることには変わりがない」、「事業活動の元手であるにも関わらず、維持管理せずに単に使うだけでは損耗して、使い物にならなくなってしまう、という意味で資本と同じである」といった理由が考えられます。

さらに、企業が自然資本を考慮した経営をすべき理由として、
(1)環境省の資料では「自然資本の価値を適切に評価し、管理していくことが、国民の生活を安定させ、企業の経営の持続可能性を高めることにつながると考えられます。」という説明があります。
(2)「自然資本コアリション」という国際的に活動している団体が作成した「自然資本プロトコル」では、現在のところ自然資本との関わりが企業経営に直接大きな影響を及ぼしている例はそれほど多くないが、「将来的にそうした外部性の内部化に繋がる要因がいくつかある。規制措置や法的措置の増加、市場原理と変化する事業環境、社外のステークホルダーによる新たな活動や彼らとの関係、そして透明性を求める声の高まりや、将来の成功には透明性が重要だと認識する企業が自主的にその向上に努めるようになってきている」と説明しています。ここでいう「外部性の内部化」とは、自らの行為の結果や影響が自社以外の“外部”だけに及んでいるところ、将来的に内部、つまり自社に影響してくることを言っています。

自然資本を考慮した経営をするためには、会社の事業が自然資本にどのように「依存」し、「影響」を与えているかを把握することが大切です。「依存」とは、再生可能・再生不可能なエネルギーの使用、水や食物の採取、洪水の減衰、水質の浄化、廃棄物・排出物の分解吸収、自然を生かした観光などを指しています。「影響」とは水、土地、海域の利用、天然捕獲した動植物、温室効果ガス、大気・水質への有害物質の排出、廃棄物処理などを指しています。これらを、目的に応じて定性的、定量的、金銭的に評価し、将来どうなるかを予測し、経営判断に生かすことになります。例えば、サプライチェーン上にある農場で将来水利用が困難になるリスク=追加的コストを踏まえ、今のうちから点滴灌漑など農家の指導や支援をする、流域の森林保護を支援する、などの対策を検討することができます。

自然資本を定性的、金銭的に評価するための手法や考え方には様々なものがあります。現在普及している財務諸表に組み込むのは難しいでしょう。しかし、経営判断に使っていくべき視点、という意味では、財務諸表と同様に重視されていく指標となるはずです。もちろん、これをどこまで突き詰めてやるのかは、その会社の規模や業種等によって異なります。しかし、資源循環が自然資本への依存や影響を減らすこと、今後も資源循環の意義が重視されることは間違いないでしょう。

 

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