REVERコラム

使われなくなった鉄スクラップはこうして生まれ変わる、何度でも。ゼロエミッション10年連続達成企業が取り組む資源循環社会への挑戦。

みなさんは、東京駅の乗降者数を知っていますか?重厚な赤レンガが印象的な丸の内駅舎は、2003年に国の重要文化財にも指定されました。東京駅の乗降者数は国内トップ3に入る41万人。今回ご紹介するのは、そんな東京駅の基礎で使用されている鉄筋など、鉄鋼製品を製造する電炉メーカー、朝日工業株式会社埼玉工場に見学へ行ってきたお話です。

▲製品として出荷される鉄筋

朝日工業株式会社様へ訪問してきました!

朝日工業グループ全体の再資源化および有効利用率は、自社の再資源化工程の他、関係各社の協力も得て、2016年度で98.8%を達成してます。ESG(環境・社会・ガバナンス)が企業の価値を左右する時代になり、あらゆる場面で環境面から持続性が問われる中で、環境企業としての立ち位置を宣言しているんです。

 

鉄筋はどうやって作られるの?

朝日工業では、ビルや自動車の解体、様々な工場から発生する鉄スクラップを電気炉と言われる炉の中で、電気と酸素によって発生する熱を利用して鉄を溶かし、鉄鋼製品を造りだしています。炉の中には、黒鉛でできた太い電極が垂直にさし込まれています。これに電流を通すと、炉の中の鉄スクラップと電極との間に放電が発生し、この熱で鉄スクラップが溶かされます。その後、所定の大きさに固めた後に、この塊となった半製品を圧延機(ロール)の間を通して徐々に細く延ばし、棒の形にしていきます。鉄スクラップが炉の中に投入されてから、溶解~精錬~鋳造~圧延の工程を経て販売できる形へと生まれ変わるんです。

▲70t電気炉

環境負荷の低減に対する努力

企業が事業活動を行う過程では廃棄物が発生します。また、産業活動によって排出されるCO2 は温暖化ガスとして気候変動を引き起こす要因となるため、その削減が地球規模で課題となっています。そんな中、ここ朝日工業埼玉工場では、それらの発生を抑えるあらゆる取り組みが積極的に行われていました。

▲圧延工程を終えて長く伸ばされた状態のもの

▲JIS規格に基づいた品質検査

2007年、国内電炉業界で初めて、製鋼電気炉ダスト処理設備(以下:RHF)を導入しました。製造工程で発生していた電気炉ダスト(産業廃棄物)は、還元鉄へと生まれ変わり、製鋼用電気炉へ鉄源としてリサイクル活用がされるようになったんです。また、製鋼工程で発生するスラグは路盤材へと再資源化。主に路盤用や土工用に使われています。なんと、RHFの利用や様々な再資源化工程によって、外部に搬出している産業廃棄物の量を、2006年度比で約87%削減したというから驚きです。これらの努力の結果、グループ全体の再資源化および有効利用率は2016年度で98.8%、10年連続でゼロエミッションを達成しているんです。そして2009年度から2012年度にかけて、工場の燃料を重油から二酸化炭素発生量の少ない天然ガスへ転換しました。その結果、二酸化炭素発生量は、2016年度には2005年度比で22%削減を達成。パリ協定が採択される5年も前の話です。

一度役割を終えた資源を、もう一度資源として世に送り出す、その間を繋ぐのが朝日工業の役目だと言います。そして、鉄鋼製品の生産工程で発生する産業廃棄物を限りなくゼロへ、さらには二酸化炭素の発生を最小限にする努力も。

▲工場見学でご案内いただいた皆様

朝日工業グループは、現在98.8%の再資源化および有効利用率を100%にすることを目指しているそうです。もちろん、100%の実現には、技術やコスト面だけでなく、サプライチェーン全体での取り組みも必要になり簡単なことではありません。しかし、創業80年の業歴の中で一歩ずつほしい未来を実現してきたその道程は、100%の未来に向けてまっすぐに伸びているように感じました。私は、毎日東京駅を利用している41万人のうちの一人です。東京駅を歩きながら、足元に組まれている基礎に刻まれた想いを巡らせずにはいられない一日となりました。

※ゼロエミッション
リサイクルを徹底することにより、最終的に廃棄物をゼロにしようとする考え方。国連大学が提唱。朝日工業では再資源化および有効利用率98%以上をゼロエミッションと定義し、日々の活動ではさらに高い目標(99.5%)を掲げている。

 

REVERコラム」は、日本の持続可能な社会のカタチを、静脈産業の立場から考えるコラムです。企業の垣根を超えて、ビジョンに共感する人々をチームと捉え、ともに環境課題を解決していくことを目指しています。

REVERとは、「re」と「ever」を組み合わせた造語です。それを組み合わせた「REVER」には、「河」の流れのように、やがてすべてのものを産み出す海へとつながる(つまり再生への道のりを歩んでいる)と言う意味と、左右どちらから読んでも「REVER」になることから「終わりがない」「終わりが始まりへとつながっている」つまりループ(循環)している、と言う意図を込めています。また「REVER」は、フランス語で「夢を見る」と言う意味があります。このような意味を胸に、私たちは、常に前を向き、思い描く将来に向かって企業価値の向上に努めます。

関連記事一覧

PAGE TOP