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2022年7月始動! 新制リバー座談会

2022年07月15日

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2022年7月1日よりリバー(株)、中田屋(株)、フェニックスメタル、及びNNYのグループ4社が合併し“新制リバー”が始動しました。これにより従来8社あったグループ会社が3社に集約されました。
最近ではSDGsやカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーなど、外部環境が大きく”環境”にシフトしており、社会からもリサイクルを安定的に行える、大手静脈産業への期待の声が聞こえています。
リバー(株)に統合を加速させた意図や戦略について、意気込みを含めてお話しを伺いました。

目次

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松岡 直人
リバー(株)
代表取締役社長

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山元 康雄
リバー(株)
取締役

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田中 訓朗
リバー(株)
取締役

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猪鼻 秀希
リバー(株)
第一事業部長

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村上 義則
リバー(株)
第二事業部長

統合について

統合する理由や背景など教えてください。

山元:鈴徳(現:リバー)は、2001年にメタルリサイクルをグループ会社化し、2003年に中田屋・サニーメタル・フェニックスメタル・NNY・イツモを、2006年に新生を子会社化しました。2007年にスズトクホールディングスが設立され、その後はホールディングスの下でのグループ経営が継続してきました。

松岡:2001年に鈴徳とメタルリサイクルが一緒になったとの話があったが、そのきっかけは2000年に循環型社会形成推進基本法が施行され、その前後に自動車リサイクル法や家電リサイクル法などの個別のリサイクル法が制定され、それらにどのように対応していくのか、というのがひとつのきっかけであったと思います。
鈴徳、中田屋など個社ごとですべてのリサイクル法に対応するのは困難であり、それぞれが得意な分野を持っており、自動車リサイクルであればメタルリサイクル、家電リサイクルでは中田屋、フェニックスメタル、NNYなど、それぞれの分野に強みを持った会社が一緒になったほうがいいと当時の経営者が判断したのではないかと思います。
そして、2007年にスズトクホールディングスとして現在のリバーホールディングス原形ができました。

山元:2007年以降、グループ経営方針としては、事業会社各社の自主性を尊重してきましたが、大きな変化がおとずれたのは、201711月にグループ再編の検討が始まったことです。

松岡:私が2015年にリバーホールディングスに入社当時、グループ会社はいくつもあったがそれぞれの個社の思い・強みを活かして個社に経営を委ねていて当時は良かったが、将来を考えたときにはある程度の纏まりが必要であると考えていました。
201711月頃と記憶していますが、事業所長以上の管理職25名程度に今までの個社での経営体制が良いのか、個社をある程度集約したほうが良いのかアンケートを採りました。
結果は、集約をした方が良い、せっかくグループになったのだから一つに纏まったほうが良いとの意見が圧倒的に多く、それからどのように集約していくのかタスクフォースを作り検討を始めました。

山元:グループ再編を検討するに当り、株式上場を目指す中で、グループのガバナンスを更に強化することが必要と認識され、また静脈プラットフォームを形成するなかで中核企業であり続けるためには、グループの全体最適を最優先し、収益基盤を強化する必要がありました。
その後、上場前の検討中止期間を挟んで、上場後に再編検討を再開した成果として、20217月にリバーとメタルリサイクル・新生が統合し(第一次再編)、今回、202271日にリバーと中田屋・フェニックスメタル・NNYが統合することとなりました(第二次再編)。
関西地区のサニーメタルとグループの輸送を担うイツモは統合しませんが、両社がリバーと有機的な連携を図ることで、事業会社3社の新たな体制ができることになりました。

松岡:山元取締役からも説明があったように上場準備のために2年間ほど作業を中止しました。
その後20203月に上場後、作業を再開し2021年に第一次再編、2022年に第二次再編と、早い段階で統合ができました。それはアンケートの結果にあったように多くの人がグループは纏まるべきとの意見が一つの原動力となって短期間で統合が進んだ大きな要因と思います。

山元:我々の事業環境もこの20年で大きく変化しており、カーボンニュートラルなどの社会からの要請に応え、リバーグループは、そのビジョンとして「高度循環型社会の実現」を目指し、ミッションとして掲げる「すべてを資源にできる技を磨く」ことに注力していきます。
今や、これらの課題をリバーグループの全社員で実現していく段階に入っており、これから具体的な活動が始まります。

事業部制の効果

今回の統合から事業部制を導入しましたが、得られる効果や期待はどのようなものでしょうか。

村上:リバー株式会社として一本化された事で、今まで同じグループとはいえ事業会社間に有った垣根が無くなり、意思統一やスピード性が向上し、人材・設備・機能といった経営資源がより有効に活用される事になります。

猪鼻:そうなることで、指示命令系統が滞りなく通い、今まで以上に物事に対する取組みのスピードアップができると考えています。

村上:今後は、事業統括室や運輸統括室といった組織が機能する事で、縦串と横串の機能が複合し効率化・コストの適正化・事業所間の連携などの効果がより一層進むことを期待しています。

猪鼻:また、地域による協力体制が強固となることで人材の交流や配車などの最適化など議論が進む事も期待しています。

リバーの強みと課題

 リバーとしての強み、課題は何でしょうか。

田中:リバーの強みは、日本においてスクラップの一大発生地である関東地区に我々は17の事業所を構えているのが圧倒的な強みです。
また、上場会社であるTREホールディングスのグループ会社であることがスクラップ業界のみならず動脈系企業に対しても通用するブランド力であり、この2つが大きな強みです。
その他にも、上場会社であることで資本力が静脈企業の中では優れていることも強みになっています。

松岡:循環型社会における動静脈連携の場合、常に言われるのが、われわれ静脈産業は規模が小さく・社会的信用力が動脈産業と比較すると低い、そのようなことがあらゆる機会に言われています。それに対し我々は規模の拡大、社会的信用力の確保の為にも上場が有効なひとつの手段である判断し上場を目指しました。202110月には、さらなるスケールアップの観点から(株)タケエイと経営統合しました。
これはゴールではなくスタートであり、まだまだ我々のスケールは動静脈連携をおこなっていくには小さすぎると考えています。現状はTREグループとして1,000億円弱の売上高ですが、数年後にはさらに大きな売上高規模の企業体にしていきたい。それがタケエイと経営統合した狙いの一つであります。

村上:遵法性・安全性を含めた上場企業としての安心・信頼が前提となるので、今まで以上に責任ある企業体となりますが、同時に大きなチャンスになるとも考えています。

猪鼻:最近では、2050CO2排出ゼロの目標に向けて取り組む企業が多くありますが、鉄リサイクル業の立場では古くから使用済みの鉄・非鉄スクラップの再商品化リサイクル業を展開しており、この事業自体がCNに大きく貢献していることを認識してほしいです。

山元:気候変動も含めた事業環境の変化は、グローバルレベルで発生しており、今まで以上の速さと大きさで、我々の事業にインパクトを与えています。
会社を大きくした理由は、そのような環境変化や、求められる機能の変化に対して、柔軟且つ主体的に応える為であり、変化をチャンスに変えることができるポテンシャルを持つ会社が、統合したリバーです。

田中:一方で課題は、17事業所もあるが今までは会社が別々に存在していたためエリアでの協力が機能していませんでした。そのため我々が持っている戦力を活かしきれずに今まできてしまいました。
今回の統合により、事業所が収益の基礎単位であることは変わりませんが、今後は有機的に有効利用して我々の持っている戦力を使い切る方向にもっていくために新たな組織を作りました。

山元:鈴徳グループが形成されてから約20年掛けて一つの会社に纏まり、ようやく統合目的を達成するための「器」はできたので、今後は、経営資源の最適配分を行い、ガバナンス・機能・収益力を高めていくことが、これからのリバーの課題となります。

田中:また事業所を跨ぐ横串の戦略的な組織として、事業統括室、運輸統括室、広域営業部などが強み・弱みをカバーして活かしきれなかった部分を活かすための組織ができました。
例えば、強みであるブランド力では、事業統括室のサーキュラーエコノミー統括や広域営業部が動脈企業へのアプローチなどに活かせます。
サーキュラーエコノミー統括の取り組みではシュレッダーダストの再資源化を極めていこうとしていますが、これまでは個々に対応していたが、これからは全社のシュレッダーダストを全体としてどのように有効利用していくのか、あるいは技術をどのように高めていくのか、その技術をどこに持つのかなど、そのような様々なことを全体で考えて配置し、能力も上げていきます。そうすることで動脈系企業からの評価や見る目が高まり今まで我々が着手できていなかった新たな企業や、大手動脈系企業の廃棄物を含めたスクラップ獲得へのきっかけになっていくのではないか。
ブランド力を持つことで自動車メーカーやロジスティック系企業など様々な動脈系企業からアプローチがありますが、今までの待ちの姿勢での営業ではなく、我々のブランド力と再資源化能力を活かして表に出て行き、新たなフロンティアに打って出る組織になっていきます。
そして足腰がしっかりした地場の事業所があり、ブランド力を最大限活かせる横串があり、それらをうまく組み合わせることで今までできなかった動静脈連携を推進していくことができます。
さらに運輸統括室では、我々の大きなコストになっている運送を効率化することができれば収益に直接結びついてきます。そのようなことを考えながら全事業所の力を集約して有機的に社内・社外と関わっていきます。

猪鼻:今後は更に廃プラのマテリアルリサイクル技術の開発などCO2削減に向けた取組を加速していかなければなりません。
リサイクルだけでなくリユースも浸透化してくると思われるのでリサイクル技術の開発とともにリユース部門の強化も取り組んでおく必要があると考えています。
また、同時に我々企業から発生するCO2排出量の可視化に取組み、対外的にも発信する必要性もあります。

松岡:今までの20年間はお話しした経緯で進んできましたが、これからはもっとスケールアップして事業領域、エリアを拡げて動静脈連携において動脈産業と力関係でも均等にできるような企業グループにしていくことが最終的な目標です。

企業としての今後

 企業として目指す方向や社員の方たちへのメッセージなど教えてください。

松岡:将来をにらんだ場合には、「環境」は大きなテーマであることは間違いなく、「環境」がテーマのなかで我々のポジションはその真ん中にいることを社員の皆さんは強く意識してほしいと思います。
これから社会が要求してくるポジションにいることは、やりがいのある仕事だと思っています。社会のニーズにどのように応えるかは「環境」というテーマに関しては我々が真ん中にいるという自信を持って業務を行っていただきたいと思います。

山元:リバーグループは「強い会社」・「強靭な組織」を目指し、統合会社リバーという核となる会社を発足させましたが、今後は、リバーをどのようにオペレーションし、リバーがステークホルダーからの期待にどのように応えていけるかが重要になってきます。
目的達成に向け、全社員が当事者意識を持って参画し、変化に対して機敏に且つ積極的に対応していく為には、以下の3つがキーワードになります。
一つ目は「ベクトルを合わせる」ことです。
リバーは社員数約600名の会社になりましたが、社員各々の力を出す方向がバラバラだと、「会社の力=全社員の力の合計」とならないので、全ての社員が注力する方向性(ベクトル)を一致させなければなりません。
二つ目は「わかりやすさ」です。
全社員が同じ方向を向くためには、わかりやすい統一ルールを設けた上で、社内で密な意思疎通を図る必要があります。
三つ目は「真似をする」ことです。
17事業所のなかの1つの事業所で実行している最適な活動を、他の事業所も真似をする事で、今までは1つの事業所内に留まっていた最適な活動の成果が、17倍のインパクトとなって全社に効いてきます。

田中:環境負荷の改善、脱炭素などこれから目指すべき方向性を示した言葉がありますが、我が社はパイロットなのか、コアなのか、を目指すのか、いずれにせよ我が社は一つの大きな役割を果たしてリードをしていきます。
静脈企業の規模は社会からはまだ小さいとみられているが、我が社がしっかりと受け止めてコアを形成し、技術やノウハウなど他を巻き込みながら伝授していくこと、そうした存在になっていくことを期待されているのではないでしょうか。

猪鼻:企業は社会の公器なので社内外からのご理解を得られなければ企業存在意義を問われることとなるのでサーキュラーエコノミーの実現やCO2削減を積極的に推進し社会の期待に応えられる企業を目指していきます。

村上:脱炭素化・再資源化といった社会の変化への対応を各企業が求められており、それらの実行において我々は動脈企業のみならず、あらゆる企業や団体から重要な役割を期待されるパートナーになると考えています。

松岡:先日、TREホールディングスの株主総会で、ある株主の方からリバーグループの会社案内に記載してある「地球を資源だらけの星にしよう。」のキャッチフレーズを見て驚き、それぐらいのスケールでこの会社は動いているのだと、そういったビジョンがあるのかと感心した、と発言されていました。いつ到達するかは別として向かうべき方向性は間違っていないと思います。
又、最近、「カーボンニュートラル2050」とあらゆる機会で耳にしますが、2050年は28年後ですが、我々グループ社員の20代・30代の人たちは2050年にはまだ現役であります。そのため2050年に向けたターゲットは遠い将来の話ではなく現実的な問題であります。
2050年のカーボンニュートラルの時代に生きるために我々が努力していくことは、非常に大事であり、また、その時代を迎える人たちが今、リバーグループ社員として会社にいるというのが現実であり、その社員の皆様が今後のグループを背負っていくことを大いに期待したいと思います。




ありがとうございました。
今後もグループ一丸となって相乗効果をもたらし、未来に貢献できるよう引き続き努めてまいります。
新制リバーグループにご期待ください。