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リバー通信 鉄くず小僧が行く!

鉄が強くなるには「焼き入れ」が必要。鉄道車両基地で見てきたこと。

2018年03月26日

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資源リサイクル・産業廃棄物処理業のスズトクの若手営業担当のコラムです!! 入社以来スズトク一筋の社員の、生の声をお届けします。

目次

鉄くず小僧です!

先日、とある鉄道車両基地に行って来ました。車両基地といっても、ただ電車が保管されているだけではなく、点検や修理等で不要となった鉄くずの[車輪]や[レール]も保管されております。そこで、今回と次回はこの[車輪]と[レール]をピックアップしていきます。

車両には「組立車輪」と「一体圧延車輪」の2種類

まずは、こちらの「車輪」。

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実は、今まで知りませんでしたが、鉄道用の車輪には「組立車輪」と「一体圧延車輪」の2種類があり、外輪・車輪を組立てて単体の車輪となるものと、一つの鋼塊から外輪・車輪を一体で圧延するものに分けられるそうです。(圧延:金属の加工方法の一つで、素材を加熱したり、あるいは常温のまま力を加え、断面積を減少させて板・棒・線・形材などの所要形状にする加工。)現在は、圧延技術の進歩や、安全性などから、一体圧延車輪が主流となっています。

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電車に乗っている私達にすれば、想像しか出来ない事ですが、鉄道の車輪は、車体を支えているのは勿論の事、レールとの摩擦やレールの継ぎ目の衝撃など、その役割は過酷なものです。そこで、硫黄分0.05%以下で、炭素含有率0.60~0.75%の高炭素鋼を素材とする「キルド鋼」という特殊な素材を、鍛錬し、レールと接する踏面には焼き入れ、焼き戻しが施されることにより、高度な耐(たい)磨耗性(まもうせい)と強靭性が伴った車輪として出来上がるのです。

焼き入れと焼き戻しについて

ここで、「焼き入れ」「焼き戻し」とは、どの様な作業なのかを説明させて頂きますと、高温で加熱した鉄(鋼)を急速に冷やすことを「焼き入れ」といい、それを再び熱することを「焼き戻し」といい、これらを総称して「熱処理」といいます。熱処理の目的は鉄(鋼)を強く、かつ、粘りのあるしなやかなものにすることにあり、焼き入れを行うと、より硬い鋼が出来、焼き戻しを行うと延性や靭性、つまり引っ張りや曲げなどに対応する力を強める事が出来るそうです。

過酷な環境下にあるからこそ、厳しい規制が設けられ、鍛錬に次ぐ鍛錬の繰り返しで強い車輪が出来上がっていくんですね!

人も同じく鍛錬が必要な時代が有ると思いますが、私、鉄くず小僧も『小僧』から、鉄くず『おじさん』と言われる世代を迎える前に、鍛錬の日々で有り続けたいものですね。

なお、車輪は主に熱処理によって硬い鋼になるので、成分としては通常の高炉、電気炉で使用することができるそうです。様々な種類の鉄をリサイクルする炉の制御技術も、きっとすごいのでしょうね。いつかそんな話も聞いてみたいです。