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リバー通信 鉄くず小僧が行く!

鉄くずが海外に輸出されているって、知ってますか?

2018年10月29日

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資源リサイクル・産業廃棄物処理業のスズトクの若手営業担当のコラムです!! 入社以来スズトク一筋の社員の、生の声をお届けします。

目次

鉄くず小僧です!

すっかり秋の気候となり、朝晩は冷え込んでまいりましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
鉄くず小僧である私としては、「鉄の相場が冷え込むよりかはましか」と1人思う時期となっておりますが。

さて、今回は、鉄スクラップの海外輸出にあたり、関東鉄源協同組合という組織が中心となり、月1回を基準とした入札を実施し、船積みを行っているお話しから、過去の歴史を紐解いていきましょう。

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14年ぶりの入札不調

関東鉄源協同組合の、鉄スクラップの輸出先としては、韓国、中国、台湾などの近隣のアジア諸国のほか、インドネシアやマレーシア、ベトナム、タイなどの東南アジアなどの国々へと多岐にわたっているのですが。

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つい先日の10月11日、この入札において、2004年6月以来、14年4カ月ぶりに入札不調という事態が起こりました。

理由としては、今回、札入れがあった輸出価格と、現在の国内価格との価格差が大きく、問屋である私たちにとっては、輸出するより、国内メーカーへ納めるほうにメリットがある為、希望価格に達しなかったという結果でした。

とはいえ、誤解を招きたくないので付け加えると、メリットがある方へと、毎月毎月、出荷している訳ではなく、メリットが無い、苦しい時にも輸出をする必要性がある局面は、実際にあります。

過去の入札では、リーマンショック後の急落局面で全商社が応札を辞退した2008年の10月に不成立となっています。

[入札不調・不成立とは、参加企業の応募数が足りない、落札企業が1社も出ない、落札者が決まらない等、何らかの事情で入札が流れてしまうこと。]

入札は、組合の審査に基づき、応札権を持つ商社が参加するという形をとっており、現在、応札権を持つ商社は17社となっています。組合では商社からの応札額に応じて、落札商社を決定します。落札数量は、昨今では、月間1万5千トン~2万トン程度となっており、落札された鉄スクラップは、原則として指定された期日内に船積みが行われることになります。

なお、入札結果は公開で行われ、且つ即日に公表されており、発表される落札価格は、日本国内における鉄スクラップの価格の指標となるだけでなく、現在は東アジアを中心とした国際マーケットにおいても、重要な指標価格の1つとして、鉄スクラップの取引に活用されているのです。

関東鉄源とは

それでは、2001年11月に設立された関東鉄源協同組合とは、どの様な集まりなのかというと、東京、埼玉、神奈川、千葉、栃木、群馬、茨城に山梨県を加えた1都7県で事業を展開している鉄リサイクル企業の組合員によって、構成されています。

組合員は各社が事業を行っている地域毎に、湘南会、京浜会、京葉会、埼京会、山梨問屋会、群馬両毛懇話会、茨城会、栃木会という組織に所属し、有機的に連携を図りながら輸出船積みの事業を継続的に実施しています。

ここで、歴史を遡ってみましょう。

前身の関東月曜会

実は、関東鉄源協同組合の前身である、『関東月曜会』という組織が存在していた過去があり、更に、リバーホールディングス株式会社(旧スズトクホールディングス㈱)の代表取締役会長兼グループCEOである、鈴木孝雄が大きく関わってきていたのです。

この『関東月曜会』とは、今から35年前の1983年8月に、関東地区でヤードを2カ所以上持ち、月曜日に会合に出席出来る10社で構成され、2代目の会長として84年1月から、鈴木孝雄が引き継いだそうです。

当時の関東地区では、発生する鉄スクラップが国内で消費しきれずに鉄スクラップの余剰が発生し、その結果、価格の大幅な下落を招いていたそうです。こうしたことから『関東月曜会』では、余剰となった鉄スクラップ需給調整を目的に、旺盛な鉄鋼需要のあるアジア市場へと業界として販路開拓に乗り出し、日本の鉄くず流通を新たな時代へと突入させていったのです。

そして『関東月曜会』の設立の後を追って、湘南、京浜、京葉、埼京の4地区協議会が誕生し、1990年3月より、関東月曜会と4地区が連合。67社80数カ所の事業所が参画し、関東地区の鉄スクラップ全体の6~7割をカバーする、関東鉄源協議会が結成され、鉄スクラップの需給ギャップの調整弁として輸出業務を行っていました。

96年4月、協議会は、鉄くず輸出を定着させる為、共同入札方式を採用し、月1回の定期入札をスタートさせたところ、この動きが、関西鉄源協議会など各地域の共同輸出のモデルにもなっていきました。

しかしながら、業界全体の社会的地位向上と、企業の健全な発展を図る上で、協議会から更に一歩踏み込んだ新たな組織の必要性が生じてきたのです。こうしたなかで、更なる輸出市場の開拓と余剰鉄スクラップ対策を目的とした法人的な組織として2001年9月、関東鉄源協同組合に全面的に組織化されました。

今月は不成立となった、入札でしたが、来月はどうなるのか?楽しみにしていたいと思います。

それでは最後に、実際に鉄スクラップの船積みを見た事がないという方の為に、こちらをご覧下さい。

船積み動画を見る(関東鉄源協同組合HPリンク)
(画面右下「PICKUP TOPICS」をクリック!)

以上、今月の鉄くず小僧でした!