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豪雨災害で発生する「水没車」 その処理を支える自動車リサイクル

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豪雨による浸水被害は、日々の暮らしを支える車にも及びます。外見には大きな変化がなくても、エンジンがかからなくなったり、電気系統に不具合が生じたりして、使用できなくなる場合があります。こうした水没車を引き取り、状態に応じて適正に処理することも、災害後の復旧を支える取り組みの一つです。
千葉県柏市で自動車リサイクルを行うリバーELV柏事業所でも、豪雨で被災した車両を受け入れています。水没した車はどのように運ばれ、処理されるのでしょうか。現場の担当者に、その対応を聞きました。

目次

1.豪雨のあとに運び込まれる水没車

ELV柏事業所に2026年8月の千葉豪雨で被災した車両が入り始めたのは、8月末ごろ。搬入のピークは9月で、千葉市や市原市、印西市などから、8月の豪雨による水没車が多く運び込まれました。入庫した車両のうち、約1割が水没車となる時期もありました。

搬入の経路は一つではありません。保険会社の車両保管場所で保険金額が決まった後に入ってくる車もあれば、ディーラーや修理工場を通じて入ってくる車もあります。所有者個人から、直接相談を受けることもあります。

搬入された水没車のなかには、外観からは被害がほとんどわからないものも少なくありません。一見すると通常の車と変わらなくても、シートにカビが生えていたり、エンジンがかからなくなっていたりするなど、車内環境や走行機能に影響が出ています。ブレーキの錆による固着で車輪が回らない車(走行できない)や、水没による電気系統の不具合でシフトレバーをP(パーキング)から切り替えられない車もあり、自走できない状態での対応が必要になります。

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外見では水没車かわからない被災車両

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水没によりシートにカビが生えた状態の被災車両

2.動かせない車を引き取り 次の対応につなぐ

水没により動かなくなった車を、自宅や駐車場などの保管場所から所有者自身で処分先まで運ぶことは困難です。ELV柏事業所では、こうした保管場所から、処分を目的とした車両の引き取りに対応しています。個人から相談を受けた場合は、営業担当者が連絡し、車両の状態などを確認したうえで査定・見積もりを行います。見積もり内容にご納得いただいた後、引き取りを手配します。

現地へ向かうのは、車を1台積載できるトラックです。車両の状態を確認し、必要に応じてウィンチで引き上げて荷台に載せます。ただし、リバーの引き取り対応エリア外(※)の場合や、トラックが進入できない場所にある場合など、引き取りが難しいこともあります。ちなみに、水没して道路上で動けなくなり、その場に残された車両を撤去するロードサービスには対応していません。道路上からの撤去・搬送は、保険会社やJAFなどのロードサービスにご相談ください。

被災によって車が自走できなくなり、処分に困っている所有者にとっては、車の引き取りから処理まで相談できることは、負担の軽減につながります。日常的に自動車リサイクルを担う事業所の設備や経験が、こうした災害後の対応にも生かされています。

※リバー株式会社での廃車引き取り対応エリアはこちらをご覧ください。

3.水没の状態に合わせて処理方法を判断する

事業所に搬入された水没車は、一台ずつ状態を確認しながら処理します。基本的な処理の流れや所要時間は、通常の使用済自動車と大きく変わりません。ただし、水に浸かった範囲や部品の状態に応じて、作業方法を変える必要があります。

例えばエアバッグ類は、通常、車両に装着した状態で作動させる方法で処理します。しかし、冠水により車室内まで水・泥等が認められる場合などは、エアバッグを取り外して回収する方法に切り替えるなど、車両の状態に合わせて対応を行っています。電気系統を含む部品についても、状態を確認し、必要な部分を取り除くなどの対応を行います。また、水没した電気自動車(EV)のバッテリーは、ELV柏事業所では再利用する部品として回収せず、一般社団法人自動車再資源化協力機構を窓口とした回収システムにて、リサイクルや適正な処分につなげています。

水没車を一律に扱うのではなく、車両ごとの状態を見極め、適切な方法を選ぶ。こうした判断が、安全で適切な処理につながっています。

4.使える部品を 別の車の修理に生かす

水没によって走れなくなった車にも、再び役立てられる部品や素材が残されています。

今回受け入れている水没車には、比較的新しい年式の車も含まれていました。ELV柏事業所では、部品の状態を確認し、再利用できるものを取り外して回収しています。

こうした車は、別の車へ部品を供給する「ドナーカー」としての役割を担います。自分自身は走り続けられなくても、使える部品が修理を必要とする車に渡ることで、その車が再び走ることを支えます。

もちろん、水没車の部品をすべて再利用できるわけではありません。水没の程度や部品ごとの状態を確認し、再利用できるものを見極めることが前提です。部品として再利用できない部分も、金属などの資源としてリサイクルできるものは回収します。自動車リサイクルでは、有用な部品などを取り外した後、解体・破砕・選別などの工程を経て、鉄やアルミなどを再び素材として利用していきます。被災した車に残された価値を見極め、部品や素材として次につなぐことも、自動車リサイクルの重要な役割です。

5.愛車が水没してしまったら

車が水没した場合は、外見上問題がないように見えても、自分でエンジンをかけないでください。電気系統のショートによる火災や感電事故のおそれがあるため、販売店や整備工場、ロードサービスなどに相談することが大切です。特に電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)は高電圧のバッテリーを搭載しているため、むやみに触れないよう注意が必要です。

自動車保険を契約している場合は、保険会社や代理店に補償内容と対応の進め方を確認しましょう。豪雨や洪水による車の損害は、一般的に車両保険の補償対象となります。ただし、任意保険に加入していても、対人・対物賠償や人身傷害などの補償のみで、車両保険を付けていない場合は、自分の車の水没被害は補償されません。自賠責保険も対象外のため、まずはご自身の契約内容を確認することが大切です。

車両保険による補償を受けられない場合など、処分について困ったときには、リバーでも相談を受け付けています。道路上からの撤去・搬送を終えた車両などを対象に、引き取りや廃車手続きにも対応しており、車両の状態や引き取り条件に応じて買取も行っています。対応の可否や費用については、事前にご相談ください。

災害後の暮らしを立て直すなかで、動かなくなった車をどうすればよいかという問題も生じます。その相談を受け止め、引き取りから回収・適正処理につなげ、使える部品や資源を生かす。リバーは、日々の自動車リサイクルを通じて培った経験を、被災車両への対応と地域の復旧支援にも生かしています。