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ニブラ重機の活躍~匠の技術と環境革新で自動車リサイクルを牽引~

2025年07月07日

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自動車リサイクルに欠かせない存在であるニブラ重機は、使用済自動車から資源を効率よく回収し、リサイクル率の向上に貢献しています。
リバーでは、熟練技術者による精密な解体と、環境にやさしい電動ニブラの導入によって、ニブラ重機の性能を最大限に引き出しています。高度な手作業と最新技術の融合により、これまで難しかった微細な部品の回収も可能となり、自動車リサイクルの可能性を広げています。
本記事では、12年の経験を持つ技術者・渡部巧氏の解体技術と、業界に先駆けて導入された電動ニブラによる環境への取り組みを紹介します。サーキュラーエコノミー実現への具体的な取り組みにも注目してください。

目次

ニブラ重機とは?

ニブラ重機は、自動車や建物の解体に用いられる特殊な建設機械です。ペンチのような強力なアームで車体をつまみ、切断できる点が特徴です。機種によっては、鉄筋コンクリートを粉砕するほどの圧縮力を持ち、最大で100トンに達するものもあります。

クランプアームを使えば、対象物を押さえたり掴んだりする繊細な作業にも対応でき、多機能性から解体現場で重宝されています。

リバーでは、リユース可能なエンジンやタイヤの取り外し後、ニブラ重機による解体を実施しています。複雑な構造から有価物を効率よく取り出すには、高度な操作技術と専門知識が求められ、熟練した職人の技が欠かせません。

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自動車解体とニブラについて

使用済自動車の解体には、自動車リサイクル法に沿った適正な処理が求められます。解体は段階的に進められ、まずカーエアコンのフロン類を回収し、エアバッグを処理し、ガソリンやオイルなどの液体を抜き取ります。

次にエンジンや足回り部品を取り外し、ニブラによる作業に移ります。ニブラは、車内に点在するワイヤーハーネスやモーターコアといった部品の回収を担います。これらを手作業で取り出すには多くの時間がかかりますが、ニブラ重機を使えば、力強さと精密さを活かして効率よく回収できます。

この技術によって、資源回収の精度を高めながら作業効率の向上も実現しています。

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匠の技術|10年を超える経験が生み出す精密さ

ニブラの役割は、エンジンやタイヤなどリユース可能な部品を取り外したあとの車両を解体し、再資源化に適した部品を回収することです。熟練した技術によって、次々と有価部品が取り出され、専門業者へ引き渡されます。 

匠は、このニブラ作業において効率と採算性を追求し、回収する部品の種類や量を増やしてきました。車体を開きながら資源を無駄なく取り出すには、10年以上の経験に裏付けられた高度な技術が求められます。現在はワイヤーハーネスの回収にも対応し、リサイクル率の向上に寄与しています。



繊細な重機操作で1t以上の車も自在に操る匠

ニブラ歴12年のベテランオペレーター渡部 巧。仕事をしていてうれしい瞬間は「細かい部品を壊さずに取り外せたとき」「車の屋根を綺麗に剥がすことが出来たとき」だといいます。 

幸せを感じるのは「部品を取り逃すことなく1日の目標台数を達成できたとき」。そして「重機を使い1t以上の車を自由自在に操るとき」に、この仕事のやりがいを実感するそうです。 

「見学の方がいらっしゃるときは、また見たいと思ってもらえるような重機の繊細な操作を心がけています」と語る渡部氏。プライベートではゲーム、カラオケ、ボウリングを楽しんでいます。

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司令塔のニブラと匠

現在は、電動ニブラと小型ニブラの2台体制で作業を行っています。それぞれの特性を活かした役割分担により、より複雑で精密な解体作業が可能となりました。 

匠は、電動ニブラの力強さを大型部品の解体に、小型ニブラの機動性を細かな部品の回収に使い分けています。車両の状況を瞬時に見極めて適切な機械を選択することで、これまでは困難だった細かな部品の回収も実現しました。

「資源回収インセンティブ制度への対応も視野に入れ、バンパーなどの樹脂部品の回収にも積極的に取り組んでいます。従来は見過ごされがちだった素材の回収も、確かな技術で着実に行っています。」と語る匠。全体の流れを把握する広い視野と、集中力を要する正確な作業を同時に行う様子は、まるで工場全体の司令塔のようです。

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電動ニブラの導入よる環境革新

世界的に脱炭素の動きが進むなか、自動車メーカーをはじめ多くの企業がカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みを強化しています。自動車リサイクル業界にも、環境負荷の低減が強く求められています。

こうした背景のもと、リバーELV川島事業所では、自動車解体に使用するニブラ重機の電動化を実施しました。この先進的な取り組みは、業界全体の環境対応を後押しする重要な一歩となっています。



業界に先駆けて導入する意義

リバーは自動車解体業と破砕業で業界の一角を担い、リーディングカンパニーとして積極的に業界をけん引する責任を負っています。その使命のもと、いち早く重機の電動化に取り組みました。 

親会社のTREホールディングスは、2050年に向けてカーボンニュートラルを掲げており、重機についても電動化の可能性を検討しています。リバーグループとしても、自動車業界の脱炭素化とサーキュラーエコノミーの実現に力を注いでいます。

 

【電動ニブラについて】

一般的な重機は、軽油などの燃料を使用するモデルが主流ですが、電動ニブラは電気を動力源としています。電源供給にはケーブルを重機に接続する必要がありますが、ELV川島事業所での作業は大きな移動を伴わないため、電動化が十分に可能です。この電動化により、ニブラ稼働時のCO2排出量を完全にゼロにしています。

 

【リバーグループの環境戦略】

近年、世界的にカーボンニュートラルの取り組みが進むなか、自動車業界でもメーカーを中心に対応が加速しています。リバーグループは自動車リサイクルを担う企業として、自動車産業の一端を支える責任を自覚し、脱炭素の実現に向けた取り組みを進めています。



電動ニブラの実力と成果

ELV川島事業所では、電動ニブラの導入により、振動や騒音の大幅な低減に加え、排気ガス発生もなくなり、作業者への負担が著しく軽減されました。さらに、燃料補給の手間が不要となったことで、作業効率の向上も実現しています。

今後、自動車解体においてもCO2排出量の少ない工程が求められる時代が来ると予想されるなか、電動ニブラの導入は、こうした業界動向を先取りした戦略的な取り組みと言えます。 

ELV川島事業所では今後も、自動車解体の各工程をさらに効率化し、資源循環の高度化に向けた革新的な取り組みを継続してまいります。

自動車リサイクルならリバーにお任せ

リバーは、自動車リサイクル法(正式名称:使用済み自動車の再資源化等に関する法律)で定められた引取業・フロン回収業・解体業・破砕業すべてにおいて登録・許可を取得している、全国でも数少ない企業のひとつです。この一貫処理体制により、解体後の各種手続きも円滑に進められます。 

また、グループ全体の使用済自動車の破砕量は、関東エリア全体の約3分の1を占め、業界内でも有数の規模を誇ります。



自動車リサイクルの流れ

自動車リサイクル法に基づく使用済自動車の処理は、複数の工程に分けて実施します。使用済自動車の受入段階では、引き取った車両からフロン類の回収、エアバッグ類の適正処理、液類(燃料・オイル・LLCなど)の抜き取りといった前処理を行います。 

次に、再利用できるリサイクル部品を取り出します。エンジンやドア、トランスミッションなどが該当します。その後はニブラ重機を使い、ワイヤーハーネスやモーター類を含めた有価物を回収していきます。 

続いては、残りの車体の破砕です。鉄・非鉄金属・樹脂などの素材別に分別していきます。最終的に残るASR(自動車シュレッダーダスト)からも、ゴムやプラスチックなどを回収し、可能な限りの再利用を行います。



リバーなら一貫処理が可能

リバーでは、引取・フロン回収・解体・破砕のすべての登録・許可を取得しているため、解体から破砕まで完全一貫処理が可能です。全国でもこうした一貫処理ができる事業所は数少なく、特にELV川島事業所は、金属リサイクルを主とする川島事業所と併設しており、自動車解体とシュレッダーが併設された全国でも珍しい事業所です。 

「自動車の終わりの場所であると同時に、新しい素材へ生まれ変わる出発の場所でもある」と表現するように、使用済自動車の引き取りから再生まで、ワンストップで対応可能な体制を実現しています。 

これには多くのメリットがあります。まず、工程間の輸送コストや時間が大幅に削減され、効率的な処理が可能です。また、情報の一元管理によりトレーサビリティが飛躍的に向上し、法令遵守の徹底や透明性の確保にもつながります。



多様なニーズに応える対応力

リバーの自動車リサイクルサービスは、事業所ごとに特色を持たせることで、多様な顧客ニーズに応えます。

<主な顧客層と対応サービス>

自動車メーカー

・自動車リサイクルを推進・研究したいメーカーへの対応

・試作車など機密性の高い車両の適切な処理

自動車ディーラー

・都内100店舗以上を持つディーラーから排出される廃棄物の適正処理

・リサイクルスキーム構築の支援

・スペースが限られた都市型ディーラーへの最適化提案

リース会社・保険会社

・リースアップ車両や事故車両の効率的な処理システム提供

官公庁

・特殊車両や機密性の高い車両の廃棄処理

・高いセキュリティレベルの維持

個人のお客様

・廃車の引き取りサービス

・自動車中古パーツ・タイヤ販売

リバーで自動車解体を担うELV川島事業所およびELV柏事業所では、年間約18,000台の使用済自動車を解体しており、リバーグループ全体での破砕台数は年間約240,000台にのぼる実績を誇ります。

また、親会社のTREホールディングスは東証プライム市場に上場しており、企業としての高い信頼性に加え、リバーグループは環境省の優良認定廃棄物処理業者の認定も受けています。こうした背景から、機密性の高い試作車や特殊車両の処理の依頼においても、多くの企業から高い評価と信頼をいただいています。

サーキュラーエコノミーの推進に尽力

リバーはリサイクル業界のリーディングカンパニーとして120年以上にわたってリサイクル事業で培ってきた豊富な知見と技術を活かし、サーキュラーエコノミー(循環経済)の推進にも積極的に取り組んでいます。 

多くのお客様とカーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーについての意見交換を重ねるなかで、自動車解体の各工程のさらなる効率化や、より高度な資源循環が進むような取り組みの必要性を強く感じています。この経験をもとに、業界全体の持続可能な発展に向けた革新的な取り組みを推進しています。



次世代自動車リサイクルへの対応

自動車業界は現在、100年に一度といわれる大変革時代を迎えています。EV(電気自動車)やHV(ハイブリッド車)など次世代自動車の普及が急速に進むことで、自動車リサイクル業界にも新たな対応が必要となるでしょう。 

これに伴い、リチウムイオンバッテリーやモーターなど、従来の内燃機関車にはない新たな部品のリサイクル技術確立が急務となっています。これらの部品は従来とはまったく異なる特性を持つため、新しいリサイクル手法の開発が不可欠です。 

リバーでは、将来的な次世代自動車のリサイクル率向上を視野に入れ、自動車メーカーと共同で電気自動車などの再資源化技術の研究開発に積極的に取り組んでいます。動脈産業(製造業)と静脈産業(リサイクル業)の緊密な連携により、設計段階から解体・リサイクルを考慮した製品開発が可能になり、資源循環の効率化と高度化を目指します。

まとめ

2026年4月からは「資源回収インセンティブ制度」が開始される予定です。この制度は、自動車リサイクルにおいて本来は処分されるASRを再資源化した場合に、経済的インセンティブを受け取れる仕組みです。

リバーでは、ニブラ技術の高度化や電動化などの技術革新を通じて、新制度にも積極的に対応する準備を進めています。特に、ニブラによる精密解体技術を活用し、ASRになる前段階で樹脂やガラスなどの資源を効率的に回収・分別することで、再資源化率の向上と環境負荷の低減を同時に実現できると考えています。



自動車リサイクルや環境に配慮した取り組みをお考えの方はぜひ一度、問合せフォームからお問合せください。



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