
鉄スクラップとは?再利用できる種類や品種、買い取りの流れを解説
2025年05月08日

鉄スクラップは、使用済みの鉄製品や加工時に発生する端材を指し、リサイクル可能な貴重な資源です。建設現場や工場、オフィスや家庭から排出される鉄スクラップは、適切に分別・加工されることで新たな鉄製品へと生まれ変わります。本記事では、鉄スクラップの種類や品種、リサイクルの流れ、そして買い取りの仕組みについて詳しく解説します。
加えて法令を遵守し、環境に配慮した優良な業者の選び方もまとめていますので、鉄スクラップを適切に処理したいと考えている担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
鉄スクラップはリサイクルの優等生
鉄スクラップとは、鉄鋼製品の製造過程で発生する端材や、不要となった鉄鋼製品や使用済み製品に含まれる鉄を再利用するための資源で、鉄くずとも呼ばれます。何度でも新しい鉄製品に生まれ変わることができるため、リサイクルの優等生と言われています。自動車や建設機械、スチール缶、建築物の鉄骨など、日常生活に溢れるさまざまなものから回収されているのが特徴です。
鉄スクラップは、その発生元から大きく「自家発生スクラップ」「市中スクラップ」に分類できます。自家発生スクラップは鉄鋼メーカーなどの生産工程で発生するもので、市中スクラップは使用済みの製品や構造物から発生するものです。これらは適切に分別・処理されることで、新たな鉄鋼製品の原料として生まれ変わります。
自家発生スクラップ
自家発生スクラップとは、製鋼工程や製品加工の過程で発生する鉄スクラップです。具体的には、鋼板の裁断時に出る端材や、品質検査で規格外となった製品などが該当します。
これらのスクラップは、発生した鉄鋼メーカー内で回収され、そのまま同じ工場内で製鋼原料として再利用されることが多いため、「自家発生スクラップ」と呼ばれています。自社内で完結する資源循環システムの一部として、製鉄コストの削減や資源の有効活用に貢献しています。
市中スクラップ
市中スクラップとは、鉄鋼メーカーや製鉄所ではない場所から排出される鉄スクラップの総称です。一般家庭やオフィス、製鉄所ではない工場、解体現場などから回収されるものが含まれます。
市中スクラップは、さらに細かく分類されます。自動車や機械などの製造工場から排出される「工場発生スクラップ」と、解体した建物や廃車、使用済みとなった製品から排出される「老廃スクラップ」です。これらは専門のスクラップ業者によって回収、選別・加工されたあと、製鉄原料として鉄鋼メーカーで再利用されます。
鉄スクラップの主な品種
鉄スクラップにはさまざまな品種があります。それぞれ鉄スクラップの形や状態によって分けられるため、以下で詳しく解説します。
参照:鉄スクラップ検収統一規格|日本鉄リサイクル工業会
ヘビースクラップ
ヘビースクラップとは、油圧シャー(せん断機)やガス溶断、重機などを使用してサイジング(寸法調整)された鉄スクラップです。主に、建築物の解体現場で発生する鉄筋や鋼矢板などが該当します。
これらは厚み、寸法、単重(単位重量)によってHS、およびH1〜H4までの等級に分類されています。特に、H2は国内での流通量が多く、鉄スクラップ買取価格の重要な指標となっています。
<参考画像>
プレススクラップ
プレススクラップは、鋼板などの鉄スクラップをプレス機で強力に圧縮し、直方体状に成形したものです。圧縮することで体積が小さくなるため、保管や輸送のコストを抑えられます。元々どのような製品であったかで等級が分けられているのが特徴です。
<参考画像>
シュレッダースクラップ
シュレッダースクラップは、自動車や家電製品などの使用済み製品を専用のシュレッダー(破砕機)で細かく破砕し、磁気選別機を使用して分離した鉄を指します。寸法や重さではなく、元の製品が自動車であったかどうかで等級を分けています。
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新断
新断は、鋼板加工製品を製造するときに発生する端材や切れ端です。製品加工時に発生するため錆びが少なく、再利用しやすい特徴があります。もっとも、形状や酸化の程度のほか、回収後の加工方法によって等級が分けられます。
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鋼ダライ粉
鋼ダライ粉は、ネジや機械部品を製作する際に発生する切削くずや切り粉のことで、カット粉・パーマ屑とも呼ばれています。主に金属製品や部品の加工工場から排出され、形状や酸化の程度をもとに等級分けされています。
鉄スクラップの処理は買取業者へ依頼する
メーカーなどの事業所から排出される鉄スクラップは、専門のスクラップ業者に売却できます。引き取り方法は、直接スクラップ業者への持ち込みや排出先へ出向いた引き取りなどがあります。ただし、鉄スクラップの買取価格よりも引き取り運賃にかかる費用が高くなる場合は、料金を支払う必要がある点に注意すべきです。またこの場合、産業廃棄物収集運搬委託の契約が必要となります。
なお、鉄スクラップ価格は鉄鋼需要や原料価格、社会情勢などの影響を受けて日々変動しています。
■2025年3月現在の価格推移(単位:円/トン)
参照:鉄スクラップ(鋼スクラップ)価格|日本鉄リサイクル工業会
このように鉄スクラップの相場は変動するため、売却のタイミングによって買取価格が異なります。
鉄スクラップを買取業者に出す際の流れ
ここでは、鉄スクラップを買い取ってもらう際の流れを解説します。なお、あらかじめ回収方法を自社内で検討しておくと、問い合わせもスムーズにできるでしょう。
1.問い合わせ
まずは買い取りに関する手続きや流れについて問い合わせをしましょう。主な問い合わせ方法は、電話やWebサイトのお問い合わせフォームです。この段階で、自社で発生している鉄スクラップが買取可能かどうか、可能であれば概算の買取価格、回収日程や受け渡し方法などの基本的な情報を確認できます。
2.引き渡し
問い合わせや見積りの結果に納得できたら、実際に業者へ引き渡します。鉄スクラップの引き渡し方法は、自分で持ち込む方法と引き取りを依頼する方法があります。持ち込みの場合は、運搬費用を自己負担する必要があります。引き取りの場合は別途出張費用がかかるため、スクラップの量や種類などを考慮して最適な方法を選びましょう。
3.計測・検収
買取業者の施設では、トラックスケールを使用して鉄スクラップの総重量を正確に計測します。その後、スクラップの種類や鉄の純度、不純物の有無、全体の状態などを詳細に確認してスクラップの品種を検収し、総重量から不純物(ダスト)を引いた重量とスクラップ品種の単価を掛け合わせて買取価格を決定します。回収した鉄スクラップが大量であったり高品質のものであったりすれば、より高価格での買い取りが期待できるでしょう。
4.支払い
検収完了後、重量や品種、単価などが記載された仕切書が発行されます。仕切書の内容に合意できたら、支払いの完了をもって買取取引は終了です。
鉄スクラップの買取業者の選定基準
鉄スクラップを買い取りしてくれる業者は、以下で説明するポイントを基準に選びましょう。近年、問題視されている不適正ヤードへの依頼を避けるためにも、信頼性の高い業者を選ぶ必要があります。
1.信頼できる業績があるか
鉄スクラップの買取業者を選ぶ際は、長年にわたり地域で安定した買取事業を行っているかどうかを確認することが重要です。地域での評判が良く、リピーターの多い業者であれば信頼性が高いと判断できます。問い合わせ時の対応の丁寧さや、質問への回答の正確さなどを参考に検討しましょう。
一方、鉄スクラップは有価物として取引されているため、廃棄物処理法の規制対象となる「廃棄物」には該当せず、また、その保管・処理について直接規制する法令等もないため、不適正処理による土壌汚染や、切断等の作業に伴う騒音などが社会問題となっています。
千葉県、埼玉県、茨城県などでは、鉄スクラップなどの再生資源物を屋外保管する事業者を対象とした許可制度を条例で定め、規制する動きが広がっています。
鉄スクラップの買取業者を選ぶ際は、法令を遵守した適正処理をおこなっている事業者かどうかを確認することも重要です。鉄スクラップの買取業者のなかには、産業廃棄物処理業の許可を取得し、廃棄物も含めた処理が可能な事業者もいますので、そのような買取業者を選ぶのもよいでしょう。
2.優良認定廃棄物処理業者かどうか
環境省が設けている「優良産廃処理業者認定制度」の認定を受けた業者かどうかも重要な判断基準です。認定の基準には、以下のような項目があります。
- 遵法性(法令順守の姿勢)
- 事業の透明性(情報公開の積極性)
- 環境配慮の取組(環境マネジメントシステムの導入)
- 電子マニフェストの活用
- 財務体質の健全性
この制度は、通常の基準よりも厳しい要件を満たした業者のみが認定されるものです。認定を明示している業者に依頼すれば、適正価格での買い取りはもちろん、適切な処理方法で再利用・リサイクルを行います。
必要な資格や許可を得ていない不適正ヤードは、騒音や振動、水質・土壌汚染などの不法行為により近隣住民に悪影響をおよぼしている可能性があります。そして、不正輸出後の不適切処理による、環境破壊へのリスクや、 適切にリサイクルすれば国内で再利用できる貴重な資源が海外に流出してしまいます。適切に再利用されないことで、循環型社会の実現が妨げられてしまうのです。
また、不適正ヤードへの依頼自体が「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に違反するとして、責任を問われる可能性があります。そういった業者を避けるためにも、認定を受けているかどうか確認しておきましょう。
3.料金設定に透明性があるか
料金設定に透明性があるかどうかも、業者選定の重要な判断基準です。信頼できる業者であれば、事前に明確な見積もりを提示し、かつ追加費用が発生するケースなどの説明も行います。曖昧な料金提示や、あとから不明瞭な追加料金が発生するような業者は避けた方が無難です。
また、過度に高い買い取り料金を提示する業者にも注意が必要です。適正な処理にはそれなりのコストがかかるため、適正料金で取引してくれる業者を選ぶべきだといえるでしょう。
鉄スクラップの買取ならリバーグループへ
鉄スクラップは再生可能な資源であり、事業活動で排出されたものは業者に買い取ってもらうことも可能です。鉄スクラップの形や状態に応じてさまざまな品種に分類され、リサイクルされていきます。
鉄スクラップの買い取りを依頼する場合は、信頼性の高い優良な業者へ依頼しましょう。買取価格や利便性だけを基準にして不適切ヤードへの依頼を避けるためにも、「優良認定廃棄物処理業者かどうか」「適正価格で透明性があるか」といった点も確認するべきです。利便性を重視したいのであれば、金属以外のオフィス什器なども一緒に引き取ってくれる業者がおすすめです。
リバーは、プライム市場に上場する企業グループの一員であり、コンプライアンス・ガバナンス体制を確立し、安定した経営基盤のもと事業を展開しています。また、徹底した再資源化への取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献しています。
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