
”生活の中に眠る金属資源”と言われ続けてもう10年。「都市鉱山から作る!みんなのメダルプロジェクト」から考える、環境課題の今。
2018年02月14日

目次
日本は世界一の金属資源大国?
みなさんは、携帯やデジカメなどの小型家電を買い替える時に、「捨て方が分からない!」「個人情報が流出してしまいそうで不安!」と思った経験はありませんか?そんなときって、アドレス帳や時計代わりにしたり、想い出として、しばらく押入れにしまっておくこともあったかもしれません。
今回紹介するのは、家庭に眠ったままになっている使用済小型家電にまつわる日本の環境課題に関するお話です。
ごみを捨てるときに「ちゃんと資源になりますように」なんて思わないですよね。でも、もし自分の出したゴミが数年後目に見える形になって、さらには環境問題も解決できるとしたら、なんかワクワクしませんか?
生活の中に蓄積されている資源を都市鉱山と呼び、以前から注目されています。しかし日本国内にどのくらいの都市鉱山があるのかはわかっていませんでした。そんな中、2008年1月に発表された国立調査機関の推計によると、日本に蓄積されている金は約6,800トン。これは、世界の現有埋蔵量の約16%に相当するといいます。なんと、日本の都市鉱山は世界有数の資源国に匹敵する規模になっていたのです。
新たな法律が施行されて課題が浮き彫りに
埋蔵資源量発表をきっかけとして、今後、貴重な資源である都市鉱山を適正処理・有効活用していくことが日本や世界にとって重要であることが強く認識され、2013年4月に小型家電リサイクル法が施行されました。この法律は、使用済小型家電を回収し、貴金属やレアメタルなどをリサイクルするというものです。
法律が施行されて4年目の2016年回収量は、当初の使用済小型家電回収目標量(年間14万トン)まで届かず、年間約6.8万トンと伸び悩んでいます。世界一の金属資源国だと言われてから10年、都市鉱山は依然として眠り続けています。
では、法律が施行される前は、都市鉱山はどこへ行っていたのでしょうか?
再利用されずに埋め立てられていた。有害物を発生するケースも
国内の都市鉱山の重要性が十分に認識されていなかった頃は、都市鉱山のもとになる使用済小型家電は不燃物として埋め立てられていました。不法に処理され有害物を発生するケースも多くありました。また、安価に海外に流出していることも。先進国から持ち込まれた使用済小型家電は発展途上国で不適正処理によるE-waste(廃電子廃棄物)汚染と呼ばれる問題も起こしていたのです。そして今もなお、こうした問題は起き続けています。
回収率をさらに上げていくためには、法律の認知度を上げるだけではなく、回収しやすい仕組み作りや、個人情報漏洩などの不安に配慮する取り組みも必要になってきます。
また、回収した使用済小型家電から資源を取り出してリサイクルしやすいように、メーカーは解体を意識して設計をするなどの取り組みも必要になるでしょう。
眠り続ける都市鉱山を掘り起こすには、社会全体を巻き込まなければいけない、という壁にぶつかっているのです。
必要なのは、一人一人の気づきが生み出すアクション
地球規模で課題となっている持続可能な社会を実現するためには、社会経済システムに環境配慮を織り込むような大規模な考え方だけではなく、一人一人の気づきが生み出すアクションが必ず必要です。そしてこれからの、環境先進国への歩みを担うことができるのは他ならぬ私たちなのです。
次の世代、さらに次の世代へと、美しい日本を残すために押入れに眠っている小型家電をリサイクルしてみませんか。