
水銀廃棄物規制の施行対応とは?(前編)
2017年08月07日

目次
水銀廃棄物規制の施行対応
水俣条約の採択を受け、水銀を含む廃棄物について規制が始まっています。昨年2016年4月1日からは、「廃水銀等」が特管に指定され、排出事業者は保管基準を遵守し、特別管理産業廃棄物管理責任者の設置、特別管理産業廃棄物収集運搬業者への委託が義務付けられています。
現時点では「廃水銀等」の“運搬まで”は特管の規制が入っていますが、処分については規制はありません。それが、来る2017年10月1日からは、「廃水銀等」の処分基準が施行され、特別管理産業廃棄物処分業者への委託が必要となります。
とはいえ、「廃水銀等」の範囲はかなり狭いため、関係のある企業はかなり少ないです。それにそもそも、「廃水銀等」に該当するものは、これまでも特管として扱っていたでしょうから、そう問題ないでしょう。
「廃水銀等」の範囲については、下記通知の3ページの「第二 改正の内容」をご覧ください。
https://www.env.go.jp/hourei/add/k050.pdf
このページ下部の表の施設を持たない排出事業者は関係ないとみてよいでしょう。(以下、排出事業者に関係する内容に絞ってまとめます)
問題は、「水銀使用製品産業廃棄物」というものが10月1日に加わるところです。これは特管には該当しないが、水銀を使用している製品(水銀使用製品)が廃棄物となったものを指します。
たとえば、水銀温度計や蛍光灯、水銀灯など、これまでは「水銀が少し入っているから、水銀含有の特管汚泥としようか」「普通産廃だけど、水銀回収しているところにだそうか」「ガラス陶磁器くずで出しちゃえ」などと対応がマチマチだったものが、改正により「普通産廃だけど、処分基準は追加するよ」ということになりました。
排出事業者としては、10月1日以降の新規契約or既存契約の更新時に「水銀使用製品廃棄物」である旨を契約書に記載することが求められるようです。アスベストの「石綿含有産業廃棄物」と似ていますね。収集運搬、処分業者の許可証には変更はありませんので、許可証を新たに入手する必要はありません。この2点については、公開資料での説明はまだありませんが、環境省に確認済みです。
また、マニフェストには「その数量」の記載が求められるかもしれません。(施行令第8条の21第11号を改正?)
■水銀使用製品廃棄物については、以下のガイドラインの64ページをご覧ください。写真付きのリストがあります。繰り返しますが、これは特管ではありません。
https://www.env.go.jp/press/y039-09/mat02r.pdf
なお、本稿では水銀を扱う処分業者にかかわる諸規定については触れておりませんので、ご了承ください。
(リバーグループ/メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社 シニアコンサルタント・行政書士 堀口昌澄)