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簡単解説!道路交通法改正 アルコールチェック義務化のポイント

2022年06月06日

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2022年4月から道路交通法施行規則が改正され、運送業者(緑ナンバー)に義務付けされている運転前後のアルコールチェックが、一定台数以上の社用車(自家用自動車/白ナンバー)を使用する事業者においても義務化されることになりました。

目次

アルコールチェック義務化のポイント
 ■ 運転前後のアルコールチェック義務
 ■ 確認記録の保管義務(1年間)
 ■ アルコール検知器によるチェック義務(2022年10月1日から義務化)
 ■ アルコール検知器の常時有効保持義務(2022年10月1日から義務化)

背景/道路交通法施行規則の一部改正(規則第9条の10

2021年6月千葉県八街市で下校中の小学生の列に大型トラックが突っ込み、5人が死傷するという事故が発生しました。この事故を起こした運転者は飲酒運転だったといわれています。この痛ましい事故を受け、安全運転管理者に運転前後のアルコールチェックを義務化する道路交通法施行規則の改正がなされました。

対象事業所と安全運転管理者の選任(社用車が5台以上だと要選任!)

一定台数以上の社用車(自家用自動車/白ナンバー)を使用する使用者は、その拠点ごとに安全運転管理者を選任しなければならず、選任後15日以内に管轄の警察署へ届出する必要があります。
アルコールチェックの義務化は、この安全運転管理者選任事業所の安全運転管理者に対する義務として法改正されました。

なお、選任義務があるのにも関わらず選任しなかった場合は、道路交通法の違反となり5万円以下の罰金が科せられます。

安全運転管理者選任事業所

定員11人以上の自動車を1台以上
使用している事業所

自動車(社用車)を5台以上
所有している事業所

        bus_kousoku_choukyori4_green.png      5台の車.png

安全運転管理者の業務とアルコールチェックの義務化

安全運転管理者は、運行計画の作成や安全運転の指導など、安全運転のために必要な業務を行う義務がありますが、改正前においては、運転後の酒気帯びの有無確認やその確認内容を記録することは義務付けられていませんでした。

そこで、2022年4月1日より安全運転管理者の業務として下記の業務が追加されることになりました。

なお、アルコールチェック(酒気帯び確認)の実施は、個々の運転の直前又は直後にその都度行わなければならないものではなく、運転を含む業務の開始前や出勤時、及び終了後や退勤時に行うことで足りるとされています。

2022年4月1日
施行

 ■酒気帯びの有無の確認及び記録の保存

 ✔ 運転前後の運転者の状態を目視等で確認することにより運転者の酒気帯びの有無を確認すること
 ✔ 確認内容を記録し、当該記録を1年間保管すること

2022年10月1日
施行

 ■アルコール検知器による確認実施

 ✔ 酒気帯びの有無の確認を、国家公安委員会が定めるアルコール検知器を用いて行うこと
 ✔ アルコール検知器を常時有効に保持すること

※国家公安委員会告示により「呼気中のアルコールを検知し、その有無またはその濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を有するものであること」とされています。

上記のように、アルコールチェックの義務化は、段階を踏んで施行されますが、記録保存・アルコール検知器の配備など準備すべき事は多々あります。早めに対応するように準備しましょう。

確認記録の作成・保管

法律で定められた様式はありません。下記事項を記載して1年間保管する必要があります。
なお、都道府県警のホームページや、交通安全協会のホームページにサンプルが公開されていますので、そちらを参考にして作成するのもいいでしょう。

  1. 確認者氏名 
  2. 運転者氏名
  3. 自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
  4. 確認の日時
  5. 確認の方法 
    ア:アルコール検知器の使用の有無(令和4年10月1日からの義務)
    イ:対面でない場合は具体的方法
  6. 酒気帯びの有無
  7. 指示事項
  8. その他必要な事項

罰則

アルコールチェックを怠っていた場合、安全運転管理者の業務違反となり、安全運転管理者の解任命令の対象になりますが、アルコールチェックの確認やその記録を怠ったことに対する直接罰の規定は設けられていません。

ただし、従業員が飲酒運転を行った場合は、道路交通法の酒気帯び運転等の禁止違反として、代表者や管理責任者などにも5年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される可能性があります。
また、万が一、従業員が飲酒運転による事故を起こした場合は、刑事責任、民事責任のみならず、企業の社会的信用を失う事につながりかねません。

このように、勤務中の従業員による飲酒運転や、それによる事故が発生した場合は、会社に対する影響は甚大なものとなります。

さいごに

飲酒運転厳罰化などにより、飲酒運転による交通事故件数は年々減少しているものの、依然として飲酒運転による悲惨な交通事故は後を絶ちません。
このアルコールチェック義務化は、社用車(自家用自動車/白ナンバー)を5台以上又は定員11人以上の自動車を1台以上使用する安全運転管理者選任事業所が対象となりますが、安全運転管理者の選任事業所か否かに関わらず、「飲酒運転をしない! させない! 許さない!」を合言葉に飲酒運転の根絶に取組んでいただければと思います。

<参考>

■警察庁HP: https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html

 ■埼玉県警察:https://www.police.pref.saitama.lg.jp/f0010/shinse/jigyousho.html

■千葉県警察本部『安全運転管理者の業務拡充に関するQ&A』:https://www.police.pref.chiba.jp/content/common/000045359.pdf




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