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リサイクル最前線

公民連携による新たな資源循環の構築!
那須事業所×那須塩原市による一般廃棄物のリサイクル実証
実証総括篇

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当社那須事業所と那須塩原市が推進する実証事業では、地域社会における新たな資源循環の構築を目指し、一般廃棄物由来の「破砕残さ物」の再資源化に取り組んできました。エクーオンラインでは「初回荷受け篇」「事業所見学篇」と2回にわたり、実証の取り組みや進捗についてお知らせしてきました。今回は実証期間が終了したことを受け、本実証を推進してきた那須事業所 事業所長 大川と親会社であるTREホールディングス株式会社 公民連携推進部 兼 リバー株式会社 事業統括部 髙澤による対談をお届けします。

目次

実証事業のスタート地点は、
“オール栃木”での資源循環構想

(大川) 今回の取り組みは、那須事業所として今後廃プラスチックの取り扱い量を増やしていくために実施した、製品プラスチックに関する行政へのヒアリングが始まりでした。当初思い描いていたのは、栃木県内で発生する廃プラスチックの回収から再資源化まで県内事業者で完結させる「“オール栃木”での資源循環」。

再生材の生産までを県内企業で担い、その再生材を県内の教育・福祉・防災といった分野で活用できれば、静脈側は再生材生産のコスト軽減につながり、行政側も資源循環と公共性を両立した施策にできるのではと考えました。そうした構想の中で自治体と対話を始めたところ、那須塩原市様から前向きな反応をいただき、「一緒に何かできないか」というところからお話が本格化していきました。

(髙澤) そうしたお話し合いを踏まえ、那須塩原市のご担当者様が那須事業所へ見学に来られた際に場内の“ミックスメタル”の処理工程をご覧になり、「市で発生しているものも再資源化できるのではないか」と思われたことから、ミックスメタルを対象とした実証検討が始まった、と聞いています。

(大川) 「“オール栃木”での資源循環」を最終目標として見据える中、この実証はその第一歩という位置づけでした。那須事業所としては、周辺自治体へのアピールにつなげたいという思いがある一方で、那須塩原市様としても、成果を広くエリア全体で共有したいという考えがあったことから、目指す方向は一致していました。

そうした流れの中で、本実証を環境省の補助事業として位置づけることは、事業の意義を明確にし、将来的な横展開を見据えるうえでも欠かせない要素でした。しかし、那須事業所には実証設計や申請実務に関する知見がありませんでしたので、事業全体の整理や補助の獲得に向けた調整など、全体のコーディネートをお願いすべく、髙澤さんに参画いただくことになりました。

(髙澤) 私が参画した時点で大方針は共有できていたので、あとは補助金申請、そして横展開の軸となる実証の“ストーリー”をどう描くか、それが私の仕事だと理解しました。

具体的には、「この実証が地域のどんな課題解決につながるか」「横展開する意義はなにか」という2点を明確にする必要がありました。その点、那須塩原市のご担当者様とは率直な意見交換を重ね、実証のゴールを相互に確認し、実証への当事者意識も共有できました。走り出しの段階で、プロジェクト全体の足場をしっかり固められたことは大きかったと感じています。

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経済性を阻む「アンダー15mm」の課題
リバーのブランドが実証拡大の鍵に!

(髙澤) 実証期間を通じて最も試行錯誤を重ねてきたのが、経済性を如何に担保するかという点でした。

本実証の目的は、「那須塩原クリーンセンター(以下、クリーンセンター)」で発生する「不燃ごみ・不燃系粗大ごみ由来の破砕残さ物」(=ミックスメタル)を母材とし、それを那須事業所で高度選別することで有価物を回収し、持続可能な資源循環スキームを確立・横展開することにあります。しかしながら、この母材には、破砕工程で発生する「15mmアンダー」と呼ばれる細かな破砕残さ物が多く含まれており、これらが有価物の効率的な回収の妨げになっていました。

そのため本実証では、母材の受け入れ段階でいかに「15mmアンダー」を抑えられるかが肝でした。実証期間を通じて、クリーンセンター側と何度も協議を重ねながら、知恵を出し合い、改善に向けた検討を進めてきました。

(大川) クリーンセンターには母材管理をはじめ、本当に多くのご協力をいただきました。一部業務内容の変更をお願いするものもありましたが、その都度、柔軟に対応していただけたことには、深く感謝しています。

(髙澤) 同感です。実証用の保管エリアをご用意いただいたほか、受け入れ量や処理量などを月次単位で正確に把握する必要があったため、処理工程でもさまざまな配慮をいただきました。ただ、そうしたご協力があったからこそ、報告数値は信頼性の高いものになったと考えています。

(大川) 他方、取り組みへの向き合い方という観点では、髙澤さんにPR活動を進めていただいたことで、昨年12月の事業所見学会など、注目度の高さを実感する機会が多くありました。その結果、事業所全体として今回の実証にモチベーション高く向き合えたと感じています。

(髙澤) そうした言葉をいただけて、ありがたいです。個人的には、行政との対話を通じて、那須事業所が築いてきた“ブランド力”を実感しました。というのも、周辺自治体にアポイントメントを取る際、「リバーです」とお伝えするだけでスムーズに時間を取っていただけたのです。

那須事業所では、長年にわたって近隣自治体が主催する小型家電のイベント回収に協力してきた経緯があり、行政側から見ても「信頼できる業者」としてのブランドが定着していたのだと思います。信頼と実績の “名札”を身につけた状態でお話を聞いていただける環境が整っていたことが、円滑なPR活動につながりました。

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実証の成果が示した手応えと、
県内へ広がる資源循環のさらなる可能性

(髙澤) 今回の実証期間は約4ヵ月間で、ミックスメタルの受け入れ量は約46トンでした。そのうち、金属やプラスチックなどの有価物として回収できた量は約10.5トン、約23%に昇ります。これらは、これまで埋め立て処分されていたミックスメタルであることを踏まえると、実証当初に掲げていた「埋立処分量の低減」や、「環境面・財政面の双方に資する持続可能な資源循環スキームの構築」という目的は、一定程度実現できたと考えています。

また、「横展開」という観点では、当初は那須事業所のある大田原市を中心に、隣接する6自治体へのアプローチを想定していました。しかし、那須事業所側でも積極的にPR活動を行っていただいたこともあり、現在では県内全域の約19自治体と意見交換を行うまでに広がっています。すでに一部の自治体や組合とは、「試験実証」の実施が決定しているなど、大きな手応えを感じています。
※大田原市、那須塩原市を含む
※広域組合の所属自治体を含む

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(大川) 
正直なところ、ここまでの広がりは想定していませんでした。将来に向けた「第一歩」というよりも、現業を大きく飛躍させる可能性が見え始めていると感じています。それもひとえに、髙澤さんのご尽力に加え、那須塩原市様が非常に前向きにご協力くださったおかげだと思っています。

(髙澤) おっしゃる通りで、この取り組みにおいて那須塩原市様の存在は非常に大きかったと思います。近隣自治体へご挨拶に伺う際も、アポイントメントの段階から、説明の場への同席に至るまで手厚くご支援をいただきました。

エリア内での認知度が高いとはいえ、実際に協働している自治体に同行いただけることで、先方に与える印象や説得力という点で大きなプラスになります。自治体とのスムーズな関係構築には、こうした“後ろ盾”が重要だとあらためて実感しました。行政業務が多忙な中にあっても、この新しい取り組みにオーナーシップを持ち、「自分ごと」として関与・推進していただけたことに深く感謝しています。

(大川) これまで那須事業所で取り扱ってきたミックスメタルの多くはリバーグループ内で発生したものであり、外部由来のミックスメタルを扱う経験は決して多くありませんでした。今回の実証では、組成の異なる母材に現場メンバーが向き合う中で対応力が高まり、さまざまなミックスメタルに応えられる素地をつくることができたと感じています。

すでに、自治体からは小型家電やプラスチックなど、ミックスメタルにとどまらない多様な廃棄物処理ニーズのご相談も寄せられ始めています。今後は、受け入れ可能な範囲や販路の確保も含め、出し手・受け手双方にとって最善となる方法を提案できるよう、早急に検討を進めていかなければなりません。

不確実性の高い時代ではありますが、廃棄物処理はこれからも社会インフラであることに変わりはなく、再生材にどのような付加価値を与えられるかが一層重要になるはずです。今回の事例を一つのモデルケースとして、さまざまなプレーヤーを巻き込みながら、発展性のある取り組みへと育てていきたいと考えています。

(髙澤) リバーとしては、最終的なゴールである「オール栃木での資源循環」の実現に向け、今回の実証事業で得られた知見を生かしながら、リバー、そしてTREグループが持つ廃棄物処理・再資源化分野での高い専門性を強みに、よりよい活動へとつなげていきたいと思います。

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▶ Part.1「初回荷受け篇」は、こちら からご確認ください。
Part.2「事業所見学篇」は、こちら からご確認ください。

本実証事業について
「不燃ごみにおける金属類の高度リサイクル事業」

那須塩原市では「第 2 期那須塩原市一般廃棄物処理基本計画」に基づき、ごみの減量化、再資源化を推進しています。そうした中、同市の廃棄物処理を担う「那須塩原クリーンセンター」では、主に不燃ごみ・不燃系粗大ごみの処理工程で排出される「破砕残さ物」について、未利用金属等の再資源化ができないまま埋立処分しているという課題がありました。こうした課題に対し、当社は那須事業所の「高度選別技術」を活用した、公民連携による「破砕残さ物」の再資源化に関する実証事業を提案。本事業は環境省「令和7年度地域の資源循環促進支援事業循環型ビジネスモデル実証事業」に採択されました。同事業を通じ、これまで埋立処分としていた残さ物から未利用金属等を抽出、再資源化することで環境負荷の低減はもとより、埋立処理に掛かる処分費の削減など、環境面、財政面の双方から持続可能な資源循環スキームを構築。そして今後は、同様の課題に悩む近隣自治体に対して本循環スキームの水平展開も進めていきます。

本実証に関するリリースは こちら から