アルミとは?素材としての特性、製造方法からリサイクルの課題まで解説
2026年10月16日

アルミと聞くと、アルミ箔やアルミ缶、アルミ鍋など、身近な日用品を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、アルミは新幹線や地下鉄、航空機、自動車、建材、スマートフォン、電池の部材など、幅広い製品や設備に使われています。軽くて加工しやすく、さびにくいアルミは、現代の産業や暮らしを支える重要な素材です。
2026年には、中東情勢の緊迫化やホルムズ海峡を巡る物流の混乱によって、石油などのエネルギーだけでなくアルミニウムの生産や供給にも影響が及びました。なぜ身近な金属が世界情勢の影響を受けるのでしょうか。
本記事では、アルミの特徴や製造方法、歴史、利用される理由をひも解きながら、その先にある資源循環の課題について解説します。
目次
アルミとは
アルミは、正式には「アルミニウム」と呼ばれる金属です。元素記号はAl、原子番号は13で、銀白色の外観を持ちます。地殻中に豊富に存在する一方、自然界では主に化合物の状態で存在するため、金属としてアルミニウムを取り出すには製錬工程が必要です。
軽さや加工のしやすさ、さびにくさといった特性を持ち、現在では暮らしと産業を支える代表的な金属の一つとなっています。
アルミの歴史
アルミニウムは、鉄や銅に比べて実用化の歴史が浅い金属です。自然界では化合物として存在し、金属として取り出すことが難しかったため、かつては非常に希少で高価な素材でした。
19世紀後半になると、ボーキサイトからアルミナを取り出す「バイヤー法」と、電気分解によってアルミニウムを製造する「ホール・エルー法」が確立され、大量生産が可能になりました。これをきっかけに、アルミニウムは工業材料として広く使われるようになりました。
アルミの歴史は、技術革新によって「使える資源」が広がってきた歴史ともいえます。現在は、使用済みアルミを再び資源として循環させる技術が重要になっています。
アルミの主な特性
アルミの代表的な特性は軽さです。同じ大きさの鉄と比べると、アルミの重さは約3分の1しかありません。また、アルミ合金には、軽さに対して高い強度を持つものもあり、輸送機器や建築物の軽量化に役立ちます。熱や電気を伝えやすいため、調理器具、熱交換器、送電線などにも適しています。
また、アルミはさびにくいことも特徴です。空気に触れると表面に薄い膜が自然にでき、この膜が内部を保護するため、腐食が進みにくくなります。さらにか、磁石に付かない、低温でも強度や粘り強さを保ちやすい、光や熱をよく反射するといった性質もあります。薄い箔や複雑な形に加工しやすいうえ、溶接、接着、機械的接合など、用途に応じた接合が可能です。こうしたさまざまな特性を生かし、食品包装や調理器具をはじめ、幅広い用途に使用されています。
アルミニウムには、純度の高い「純アルミニウム」と、ほかの金属を加えた「アルミニウム合金」があります。純アルミニウムは、電気を通しやすく加工しやすい一方、そのままでは強度があまり高くありません。そこで、銅、マンガン、マグネシウム、けい素、亜鉛などを加え、用途に合った性質を持つアルミニウム合金として使用されています。
例えば、純度の高い1000系は導電性や加工性に優れ、5000系は耐食性、6000系は強度と加工性のバランス、7000系は高い強度が求められる製品に適しています。このように、用途に応じて性質の異なる種類を使い分けられることも、アルミニウムの大きな強みです。
一方で、この「用途ごとに成分が異なる」ことが、リサイクルの難しさにもつながります。
用途例
アルミは飲料缶だけでなく、輸送機器、電気機器、家電、建築物など、身の回りのさまざまな場所で使われています。製品ごとに求められる性能は異なりますが、軽さ、強度、熱・電気の伝わりやすさ、加工性、耐食性などを組み合わせて生かせることが、用途の広さにつながっています。
以下ではアルミの用途を表にまとめました。
| 分野 |
主な製品 |
生かされている特性 |
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飲料容器 |
アルミ缶 |
軽く、薄く成形しやすいうえ、耐食性にも優れ、飲料容器に適している |
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電線 |
高圧送電線など |
電気伝導性が高く、銅より軽いため、電線や鉄塔にかかる重量を抑えられる |
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輸送機器 |
自動車、新幹線、地下鉄、航空機、ロケット、人工衛星、一部のLNG船のタンクなど |
軽さと比強度の高さを生かし、車体や機体を軽量化できる。低温特性にも優れる |
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電気・情報機器 |
ハードディスクなど |
軽く、精密な形状に加工しやすい。平たん度の高い部材を製造できる |
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家電製品 |
エアコンの熱交換器、テレビのバックパネル、デジタルカメラのボディなど |
軽さ、熱伝導性、導電性、耐食性が、放熱や小型・軽量化に役立つ |
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建築・土木 |
アルミサッシ、カーテンウォール、橋梁、防護柵など |
軽くて強く、さびにくい。加工しやすく、長期間使用する屋外部材にも適している |
このように、同じアルミでも、使われる製品によって重視される特性は異なります。
出典:一般社団法人 日本アルミニウム協会「アルミニウムとは」
https://www.aluminum.or.jp/wp-content/themes/dp-colors/img/AboutAluminum.pdf
日本での需要構成
日本において、アルミニウムは特定の製品だけに偏らず、幅広い産業で使用されています。日本アルミニウム協会の統計データを基にまとめられた2025年度の資料では、2023年または2024年の出荷量として、自動車向けが約147万トンと最も多く、食料品向けが約42万トン、建設向けが約38万トンとなっています。
このほか、電気機械や金属製品、航空機・鉄道・船舶、電線、医薬包装など、さまざまな分野でアルミが使われています。自動車では車体や部品の軽量化、建設分野ではサッシや建材、食料品分野では飲料容器や食品包装など、それぞれの用途でアルミの軽さ、加工性、耐食性などの特性が生かされています。
こうした用途の広さからも、アルミニウムが私たちの暮らしだけでなく、幅広い産業を支える素材であることがわかります。
出典:一般社団法人 日本アルミニウム協会「2025年度 CPs領域別WG 検討結果報告 アルミニウムWG」
https://www.aluminum.or.jp/wp-content/themes/dp-colors/img/CPs_aluminumwg_2025.pdf
アルミはどこから来る?原料と製造工程
アルミは、地中から金属の姿で掘り出されるわけではありません。原料となる鉱石を採掘し、複数の工程を経て、アルミ地金が製造されます。特に、アルミ地金を製造する工程では、大量の電力を必要とします。そのため、アルミの供給は鉱物資源だけでなく、各国の電力事情や国際的な輸送網とも深く結び付いています。
アルミの主要産出国
アルミの主な原料は、赤褐色の鉱石「ボーキサイト」です。主要な産出国にはギニア、オーストラリア、中国、ブラジルなどがあり、ベトナムも世界有数の埋蔵量を持っています。採掘したボーキサイトからバイヤー法によって酸化アルミニウムの「アルミナ」を取り出し、さらにホール・エルー法による電気分解でアルミ地金を製造します。
鉱石の産出国と、アルミ地金をつくる製錬国が必ずしも同じではない点も特徴です。アルミの製錬には大量の電力を安定して供給する必要があり、電力コストが製造費を大きく左右します。そのため、製造に多くの電気を使うアルミニウムは、電気を蓄えているかのような意味で「電気の缶詰」と呼ばれることもあります。こうした背景から製錬所は安価で安定した電力を確保できる地域に立地してきました。日本はボーキサイトをほとんど産出せず、ボーキサイトから新たに製造されるアルミニウム(一次アルミ地金)についても、海外からの供給に大きく依存しています。
中東とアルミの関係
中東がアルミの生産拠点として発展した理由は、ボーキサイトが豊富だからではありません。エネルギー資源を背景に、大量の電力を必要とするアルミ製錬が発展してきました。また、湾岸諸国が石油・ガスに依存した経済からの多角化を進めてきたことも背景にあります。UAEやバーレーン、カタールなどには大規模な製錬所があります。
一方、湾岸地域の物流はホルムズ海峡と密接に関係します。海峡を通る物流が停滞すれば、アルミナなどの原料輸送やエネルギー価格に影響し、その結果としてアルミ価格や供給環境に影響を及ぼす可能性があります。
アルミニウムから考える資源循環
アルミは、使い終えた製品から回収し、再び素材として利用できる金属です。しかし、回収したものを溶かすだけで、すべてが元の製品に戻るわけではありません。
合金の違いや異物の混入、海外へのスクラップ輸出など、循環をめぐる課題もあります。アルミを持続的に利用するには、回収から選別、製品設計までを一つの循環として捉えることが重要です。
アルミはリサイクル優等生
アルミニウムそのものは、再溶解しても化学的な意味で劣化しにくい金属です。そのため、適切に回収・選別できれば、繰り返し資源として利用できます。アルミスクラップから再生地金をつくる場合に必要なエネルギーは、ボーキサイトから新地金を製造する場合と比べて約3%とされています。必要なエネルギーを約97%も削減できるため、温室効果ガスの排出削減にもつながります。
アルミは軽く、製品の使用段階でも輸送に必要なエネルギーの削減に役立ちます。さらに、使用後のアルミを再資源化することで、新地金の使用を抑え、鉱石からアルミを製造する際に必要となるエネルギーや環境負荷の低減にもつながります。このように、使用後も資源として繰り返し利用でき、再生時のエネルギー消費も少ないことから、アルミは「リサイクルの優等生」と呼ばれています。
出典:一般社団法人 日本アルミニウム協会「アルミ缶の部屋」
https://www.aluminum.or.jp/box/junkan_new/kankyo.html
しかし現実は単純ではない
アルミ自体は再溶解しても化学的な意味では劣化しにくい一方、実際のリサイクルでは合金成分の管理が課題になります。アルミ製品には、マンガンやマグネシウム、けい素、銅、亜鉛などを加えたさまざまな合金が使われており、製品ごとに成分や求められる性能が異なります。異なる合金を一緒に溶かすと、添加元素が別の製品にとっての不純物になることがあります。
使用済み製品を回収する際には、アルミ以外の部品が付いたまま回収されたり、異なる素材の製品が一緒に集められたりするため、鉄や銅、プラスチック、塗料などが混入することがあります。また、アルミは溶け込んだ金属を後から取り除くことが難しいため、異物や異なる合金が混ざるほど、再生後に製造できる製品が限られます。リサイクルできないわけではありませんが、成分管理の異なる別用途のアルミ製品へ利用されることがあります。同じ用途へ繰り返しリサイクルするためには、回収時に素材ごと・製品ごとに分別し、その後も選別設備などを使って高精度に選別することが重要です。
日本の課題
日本のアルミ資源循環には、海外依存と国内資源の流出という二つの課題があります。日本アルミニウム協会の2025年度のWG資料に掲載された2023年実績では、国内で使用する新地金は100%海外からの輸入に依存しています。また、板材や押出材などのアルミ展伸材における再生材利用率は、2023年実績で34%にとどまっており、低い水準です。展伸材への再利用を増やす余地が残されています。
さらに、アルミスクラップの輸出量は4年連続で40万トンを超え、同資料によると2025年の輸出量は約44万トンです。国内で発生したスクラップの一部が海外へ輸出されているため、国内循環に回る資源をいかに確保するかも課題です。
つまり、日本は原料となる新地金を海外から輸入する一方、国内で発生した有用なスクラップを海外へ輸出している状態です。国際情勢や物流の混乱によって新地金の調達が不安定になる可能性を考えると、国内で発生するアルミスクラップは、重要な資源として有効に活用していくことが求められます。回収したアルミを国内で選別し、再び製品へ戻す仕組みの構築は、環境対策に加えて資源安全保障の面でも重要です。
出典:一般社団法人 日本アルミニウム協会「2025年度 CPs領域別WG 検討結果報告 アルミニウムWG」
https://www.aluminum.or.jp/wp-content/themes/dp-colors/img/CPs_aluminumwg_2025.pdf
アルミの国内循環を進めるために必要なこと
アルミの国内循環を進めるには、回収量を増やすだけでなく、再利用できる品質に整える必要があります。そのためには、さまざまな素材識別・選別技術を組み合わせ、異なる素材や合金を高精度に選別する技術や、鉄や銅などの異物を溶かす前に取り除く技術の向上が欠かせません。
製品をつくる段階から、再生材の使用を前提とすることも重要です。部品を取り外しやすくする、異なる合金の混用を抑える、材質を識別できるようにするといった廃棄後のリサイクルまで考えて製品を設計する「DfR(Design for Recycling)」を進めれば、回収後の分別・選別が容易になります。選別技術と製品設計の両面を改善し、国内で回収から再製品化までをつなぐことが求められます。
そのためには、製品メーカーは、素材の種類を減らし、分解や選別がしやすい製品を設計する必要があります。素材メーカーには、再生材に含まれる成分を踏まえた合金や製造技術の開発が求められます。同時に、回収・選別事業者によるソーティング技術の高度化、行政による回収制度や国内循環の支援、大学や研究機関による新たな識別・選別技術の開発も重要です。
製品の製造から使用、回収、選別、再生までに関わる主体が情報を共有し、産官学で循環の仕組みを構築することが、アルミの国内循環を進めることにつながります。
リバー那須事業所の取り組み
リバーの那須事業所は、シュレッダーによる破砕工程で発生する「ミックスメタル」の選別を得意とする事業所です。ミックスメタルには、アルミニウムや銅、ステンレスなどの非鉄金属とプラスチックなど、さまざまな素材が混在しています。
那須事業所では、品物の性状に応じてさまざまな選別技術を使い分けています。なかでも特徴的なのが、液体との比重差を利用する「重液選別」です。比重を調整した重液を使い、プラスチック、アルミニウム、それ以外の金属に選別します。
さらに、重液選別後の残さ物についても、センサーや各種選別機器を活用して有用な資源を回収しています。こうした複数の選別工程を組み合わせることで、シュレッダーによる破砕後の混合物から有用な資源を選別・回収し、リサイクル率の向上につなげています。
リバーが目指すアルミの高度な資源循環
リバーでは、アルミニウムの国内資源循環を推進するため、動脈企業との連携による高度なリサイクルに取り組んでいます。
その一つが、日本軽金属グループなどと連携して取り組んできた、使用済みトラックの架装材を対象としたリサイクル実証です。トラックに使用されていたアルミ部材を回収し、再び製品の材料として利用する「クローズドループ」の構築を目指し、リサイクルの可能性を検証してきました。
こうした取り組みをさらに推進するため、2026年10月には、日本軽金属株式会社とアルミリサイクルおよび関連事業に関する覚書を締結しました。両社は今後、アルミスクラップの回収・選別機能の拡大や、高品質な再生アルミニウムの製造能力の強化などを目指し、国内での資源循環の仕組みづくりに向けて協議を進めていきます。
こうした企業間の連携は、国内で発生したアルミを再び製品へと循環させ、資源の有効活用を進めるうえで重要な取り組みです。
詳しくはこちら:日本軽金属とリバー、アルミリサイクル及び関連事業に関する覚書を締結
まとめ
アルミは地球上に豊富に存在するものの、自然界では主に化合物の状態で存在するため、かつては金属として取り出すことが難しく、非常に高価な素材でした。19世紀後半に製錬技術が確立されたことで大量生産が可能となり、現在では飲料缶や建材だけでなく、自動車、鉄道、航空機、電気機器など、現代社会を支える幅広い分野で使われています。
一方、日本はアルミ新地金を海外からの輸入に依存しており、国際情勢やエネルギー価格、物流の混乱による影響を受けやすい状況です。国内で発生するアルミスクラップを有効活用し、再び製品へ戻す仕組みは、環境負荷の軽減だけでなく、資源の安定確保という面でも重要性を増しています。
かつて求められたのは、鉱石からアルミを「使える資源」に変える技術でした。これから重要になるのは、使用済み製品に含まれるアルミを適切に回収・選別し、再び製造に使える資源として循環させる技術です。製品設計、回収、高度選別、再生材利用をつなぎ、国内でアルミを循環させる仕組みを構築していくことが、資源の安定確保と脱炭素の両面から重要になっています。
廃棄物処理や資源リサイクルに関するご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問合せください。








