
廃棄物処理法が改正されるようです。要チェックですよ。
2017年04月10日

目次
廃棄物処理法の改正案について
2017年2月、廃棄物処理法の改正を検討する廃棄物処理制度専門委員会では、テーマが沢山挙がっていました(詳細は下記報告書参照)。
〔廃棄物処理制度専門委員会報告書〕
http://www.env.go.jp/council/03recycle/r0310-02.pdf
この報告書を基に、廃棄物処理法改正案が閣議決定され、今国会に提出されています。
〔報道発表資料:廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案の閣議決定について〕
http://www.env.go.jp/press/103794.html
上記報道発表ページの【概要】廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律案をご覧になると、以下のようなまとめ方になっていますので、今回はこれをベースに解説いたします。
(1)廃棄物の不適正処理への対応の強化
1.許可を取り消された者等に対する措置の強化
2.マニフェスト制度の強化
(2)有害使用済機器の適正な保管等の義務付け
(3)その他
(1)1.については、ほとんどの方に関わりがない話です。
要は、ビーフカツを横流ししたダイコーが欠格要件に該当しているのに、愛知県がなかなか許可取消しをできなかったという問題に対して法的対応を行ったというものです。
2.については、何といっても電子マニフェストの義務化が注目です。
報告書では、
「一定規模以上の特別産業廃棄物を排出する事業者」
が対象と書かれていますが、先ほど私が傍聴した循環型社会部会の資料では、
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特定の産業廃棄物(廃石綿、廃油、廃酸、廃アルカリ、感染性を想定)を多量に排出する事業者(年間50t以上を想定)に、電子マニフェストの使用を義務付ける
http://www.env.go.jp/press/y030-19/ref01_2.pdfより
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とのことで、かなり対象が絞られます。しかも、施行は公布から3年以内(他は1年以内)ですので、だいぶ慎重に実施するようです。
なお、報告書でも書かれていますが、「紙・電子を問わずマニフェスト制度全体について課題の検討」が行われました。
【電子マニフェスト普及拡大に向けたロードマップに基づくマニフェスト制度運用状況の総点検に関する報告】
https://www.env.go.jp/recycle/waste/h290203roadmap_r.pdf
ダイコーが、ビーフカツを横流ししたにもかかわらず、電子マニフェストで処分終了報告をしていたわけですが、そもそも虚偽記載の防止がどれほど可能なのかが問題です。
システムの強化方法の具体例として
・民間事業者が運営する電子マニフェストシステムにおいて先行して
取組が行われている廃棄物処理の過程における位置情報・画像情報について、情報処理センターと接続し、情報を保管する仕組みの導入
・産業廃棄物処理業者の許可内容や処理委託内容とマニフェスト情報が異なる場合のエラー検知機能の強化が挙げられていますが、すぐにできる話ではありません。今後の進捗に期待しましょう。
(2)も、ある意味(1)同様「不適正処理への対応」と言えなくもないのですが、「廃棄物を除く」ものが対象であると条文で明言していることがポイントです。つまり廃棄物処理法が初めて、有価物に対して規制をかけることになるのです。
いわゆる雑品スクラップを対象として、届出を義務化し、処理業と同等の扱いをするようです。
雑品スクラップの範囲はこれから政省令で決まりますので、それにより今後、有価物の取扱い方針を見直す必要が出てくるかもしれません。
(3)は、親子会社間での産業廃棄物の処理委託について、認定を受ければ処理業の許可が不要ということです。
規制改革要望への対応ですが、効果のほどは認定の要件次第ですので、政省令を待ちましょう。
仮に、条例や指導で住民同意が必要ということになれば、既存の業許可と大差なくなってしまいますので、自治体の運用も重要です。
(リバーグループ/メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社 シニアコンサルタント・行政書士 堀口昌澄)