ecoo online

人・企業・環境をつなぐ、
新しい時代のリサイクルメディア

廃棄物処理法のヒント FAQ

有害物質の分析の必要性とは?

2018年12月27日

share

目次

法改正により基準値を超えたものは水銀含有ばいじん等

水銀廃棄物の新しい規制が昨年10月に施行されて1年以上経過しました。

それまで、水銀については、特定の施設から排出された場合で、基準値を超えると特別管理産業廃棄物に該当していましたが、改正により施設の限定なく、すべての燃え殻、鉱さい、ばいじん、汚泥、廃酸、廃アルカリが基準値を超えると「水銀含有ばいじん等」になります。

ということは、これらすべてについて水銀の分析をする義務が生じるのでしょうか。そもそも、特別管理産業廃棄物の対象となりうる特定の施設から生じた廃棄物については、分析義務はあるのでしょうか。

基準が不明なものは分析をした方がよい

結論から申し上げますと、分析をする義務はありません。あくまで、基準値を超えている場合に法律の規定に沿って管理、処理委託をする義務があるのであって、基準値を超えているかどうかの分析を義務化しているものではありません。

分析しないと基準を超えているかどうか分からない、ということであれば分析すべきでしょう。しかし、分析するまでもなく基準を超えていないことが分かるのであれば、分析は不要という考え方です。事業場内で使用している原材料や資材の成分を把握し、それらの使用方法、廃棄方法、発生工程などが管理ができていれば、ほとんどの場合どのような物質が廃棄物に含まれ得るか分かります。そのため、実際に分析するかどうかは当事者の判断に委ねられているということです。もちろん、判断ミスで分析をしなかった結果、基準超過だったとしても責任を免れられるわけではありません。

基準値はあっても、分析義務はないという意味では、悪臭防止法も同様です。規制地域内の事業所の[1]敷地境界線、[2]気体排出口、[3]排出水について基準がありますが、公害関連法によくある特定施設がありませんし、事業者に対する臭気測定の義務もありません(条例によってはあります)。

(リバーグループ/メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社 シニアコンサルタント・行政書士 堀口昌澄)