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リサイクル最前線 そうだったの?リサイクル

近年頻発している処理施設の火災。原因はリチウムイオン?

2017年08月09日

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リチウムイオン電池が火災の原因に

輸出ヤードをはじめ、全国で火災を起こしていることで問題となっている雑品スクラップ業者。火災の主な原因とされているのがリチウムイオン電池です。

ボーイング787やGalaxyの発火、火災もこのリチウムイオン電池が原因です。

リチウムイオン電池が発火するメカニズムは「プラス極側とマイナス極側の電解液を隔てている隔離膜が壊れるなどして、両極の電解液が直接接触することで熱を発する(ショートする)」ということだそうです。

つまり、押しつぶしたりすると膜が破れて発火するわけです。したがって、特に問題になるのが大量保管です。重みにより、山の下の方に埋もれた電池が潰れてしまって発火、延焼したら。。。それも、誰もいない夜中だったら大変です。山の内側から出火するのですから消火には時間がかかります。

電池の混入に気付かず、他のスクラップと一緒に破砕されてしまう分には、望ましくはありませんが、少々煙が出る程度で済むことが多いです。特に堅牢な大型の破砕機であれば、そうそう問題にはなりません。でもこの場合は、リチウムイオン電池の特徴を踏まえたレアメタルの選別、回収工程には入りません。したがって、リチウムイオン電池は分別し、単体でリサイクルするのが理想的です。

リサイクルをする際には、ケース等のスチール・アルミ・銅と、電極のコバルトがメインターゲットになります。リチウムはもちろんマンガン、ニッケルもあるのですが、なかなかコストに見合うだけの売却価格になりにくいようです。

基本的な工程は破砕→機械選別なのですが、もちろんいきなり破砕すると発火、感電の可能性すらあります。そこで、事前に加熱して電解液を気化させてから解体・破砕します。機械選別にどこまで手間をかけるかは、精錬会社との距離(=運賃)や非鉄市況によって変わります。

ということで、どこに委託するかにもよりますが、リチウムイオン電池に限らず、電池は取り外して分別(スマホを除く)しましょう。それが難しい場合でも、電池入りの機器を他の物と分けてあると、より安全で高度なリサイクルが期待できます。

(リバーグループ/メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社 シニアコンサルタント・行政書士 堀口昌澄)