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今の家電リサイクル法は、ユニバーサルサービスではない。過疎地域と高齢者にも優しい仕組みに!

2017年12月25日

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目次

この記事のポイント

・現在の家電リサイクルは、場合によっては負担が重いことがある
・産構審と中環審などで、今後どうあるべきか検討されている

12月4日に開催された、家電リサイクルに関する産構審と中環審の合同会合を傍聴しました。

正式名称は
「中央環境審議会循環型社会部会家電リサイクル制度評価検討小委員会、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会電気電子機器リサイクルワーキンググループ 合同会合」と言います。
誰か空で言える人がいるのでしょうか。

小売業者の引取義務の対象とならない廃家電

委員会では課題がいくつかあげられましたが、なかでも義務外品の問題が大きなテーマでした。

・義務外品とは正式には
「小売業者の引取義務の対象とならない廃家電」
と言われているものです。

どういうことかというと、
家電リサイクル法では、小売業者は以下の場合に廃家電の回収が義務付けらています。

①新家電品の販売時
②過去に販売した家電(要求があればいつでも)

つまり、新品購入時に回収依頼しないと、過去に購入したお店にお願いするか、家電リサイクルの指定引取場所に自分で運び込むか、市町村の回収に任せるしかありません。

しかし、市町村は廃家電の回収をしていないことが多く、もし過去に購入したお店が廃業していたり、分からなかったりする場合は大変です。
廃棄物処理法上は一般廃棄物なので、宅配便業者等に運搬をお願いすることができず、自分で家電リサイクルの工場に運ばなければなりません(対象は「テレビ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫」です、念のため)。

そのため、
・特に高齢者は、義務外品を運べない
・法違反の業者は法を無視して柔軟に義務外品を回収しており、そちらに流れてしまう
・地方の過疎市町村では、義務外品の回収体制を組むのが難しい
といった問題が発生しています。

リサイクル費用を上乗せするアイデア

そのような中、リサイクル費用の先払いをすべきではないかというアイデアが再び出てきました(このネタは、過去に何度も蒸し返されてきました)。

確かに、過疎市町村と高齢者という弱者に義務外品の回収義務を課すより、購入時にリサイクル費用を徴収し、全国一律で回収システムを構築したほうが合理的だと思います。
小型家電も販売時にリサイクル費用を上乗せすることとすれば、かねてから話題の「家電+小型家電リサイクル制度の統合」も現実味を帯びてきます。
資源リサイクルはインフラであるべきなのですから、電話や郵便のようにユニバ―サールサービスであるべきだと思います。
廃棄物処理法を順守すると高齢者に優しくなれない、なんておかしな話です。

5年後には全く違う世界が広がっているかもしれませんよ。

(リバーグループ/メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社 シニアコンサルタント・行政書士 堀口昌澄)