
都市鉱山 眠れる宝の山を掘り起こせ!(4-2)
2018年07月20日

廃棄物処理・資源リサイクルのリバーグループの広報担当です。今日は、前回に引き続き、「都市鉱山 眠れる宝の山を掘り起こせ!」というお話です。
目次
都市鉱山の実態 世界有数の資源大国ニッポン
『都市鉱山からつくる! みんなのメダルプロジェクト』が実施されたことにより、広く認知されるようになった「都市鉱山」という言葉。
土の中などから資源を採掘する自然界の「天然鉱山」に対して、「都市鉱山」は人間社会にある工業製品などに使用されている金属を資源と見なした造語です。持続可能な社会の実現に向け、国も都市鉱山を金属資源と位置付け、リサイクルして有効活用することを推し進めています。
メダルプロジェクトで対象としている小型家電以外にも、テレビや冷蔵庫といった大型家電など、都市鉱山にはさまざまな電子機器が含まれます。
では、なぜ都市鉱山が注目されるのでしょうか。それは、金や銀などの貴金属に加え、レアメタルが含まれているからです。
レアメタルは、たとえばリチウム電池の原料の「リチウム」や、液晶ディスプレイに必要な「インジウム」など、ハイテク機器に欠かせない金属です。
電子機器1台に使用されるレアメタルの量は、数十mgに満たないものも多く、都市鉱山に蓄積されているレアメタルの量も、鉄やアルミニウムなどのベースメタルと比較するとほんのわずかです。しかし、その少量のレアメタルがなければ、十分な性能を備えた電子機器を製造することはできません。人間でいうならば、必要量は少量でも不足すると体調に支障をきたす栄養成分、ビタミンのようなもの。そのため、「産業界のビタミン」とも呼ばれています。
では、都市鉱山にはどのぐらいの金属資源が蓄積されているのでしょう。
戦後の日本は、資源に乏しい国として、原材料を輸入して製品をつくり、それを輸出することで国を成り立たせてきた「貿易立国」でした。しかし同時に、輸出だけでなく国内でも大量消費を行ってきました。金属資源の特徴は、石油やガスなどのエネルギー、あるいは食料や水などと異なり、使用したあとも物質が残るということ。その結果、貴金属やレアメタルなどが都市鉱山というかたちで蓄積されてきたのです。そして、その量を計算すると、日本は世界有数の資源大国になります。
都市鉱山はいたるところに、いろいろなかたちで分散しています。それを回収後、わずかに含まれるレアメタルを抽出し、経済的に見合うかたちで再利用することが必要ですが、現状はまだまだです。分別回収が不十分な小型家電はもちろんのこと、大きな都市鉱山を抱える工場や事業所などでも、レアメタルはリサイクルするものだという意識を持つことが求められています。
監修 原田幸明
特定国立研究開発法人 物質・材料研究機構 名誉研究員/一般社団法人サステイナビリティ技術設計機構 代表理事