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安定型処分場は要注意。経営状態、管理状態を要確認です。

2018年07月27日

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この記事のポイント

・最近、最終処分場への依存が強まっている
・しかし安定型最終処分場は注意が必要である
・堅固な経営基盤を持つか、受入れ品を検査しているかの確認が重要

目次

安定型最終処分場

中国の廃プラなどの輸入規制により、日本国内で産業廃棄物の処理が滞り、各地で溢れ始めています。
既存の処理施設は、破砕機にしても焼却炉にしても時間当たりの能力には限界があります。
そこで、時間当たりの能力に比較的融通が利く埋立処分(埋立処分の能力は容量でしかない)への依存度も高まってきているようです。
その中でも、安定型最終処分場は、管理型と比較して安価なのですが、近年その安全性が疑問視されています。

安定型最終処分場は、いわゆる安定型5品目といわれる「金属くず、廃プラスチック類、がれき類、ガラス陶磁器くず、ゴムくず(一部例外あり)」だけを埋めることができます。
これらは、有害な汚水などが生じず、性状が安定しているので、底にシートなどを敷かずに地中に直接埋める形式を取っています。
したがって、埋める物に有害物質が混入したらすぐに土壌汚染、地下水汚染につながります。

法律の規定により、埋立する前にいったん土間に展開し、安定5品目以外のものを取り除く必要がある(展開検査)のですが、人間の目視、手作業ですので限界があります。

実際、安定型最終処分場の許可が下りた施設に対し、最高裁判所が操業の差し止めをしたことがあります。展開検査では「厳格な分別が困難であり、それにより地下水の汚染等、生活環境の保全上支障を生ずる可能性がある」という判断です。事実、全体の1割の安定型最終処分場から汚水が流出しているそうです。

http://www.env.go.jp/council/former2013/03haiki/y0320-07/ref07.pdf
出典:「安定型最終処分場に係る対策の検討状況について」(環境省)

廃棄物処理法は、決められたルールに基づいて適切に業務が行われる前提で許可を出すので、ある意味では性善説を取っています。
したがって、許可があるからといって安心することはできません。
特に、国内に大量の廃棄物が溢れかえっている現状において、丁寧に展開検査が行われるかは大いに疑問です。自社が委託するものには混入はない、と断言できたとしても、他社の廃棄物が原因で汚水が検出されたら自社に責任がないと証明することは難しいでしょう。

したがって、埋立処分を委託する場合は、汚水処理の仕組みがある管理型最終処分場を選択したほうがより安心です。
そして何より、処分場の管理や汚水処理にしっかり手間とコストをかけられるだけの堅固な経営基盤があることを、確認してください。

(リバーグループ/メジャーヴィーナス・ジャパン株式会社 シニアコンサルタント・行政書士 堀口昌澄)