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期限切れの消火器に要注意!適正処分のために知っておきたいポイント

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ビルやマンションなどに必ず設置されている消火器。万が一の時には不可欠なものですが、実は古い消火器には破裂事故の危険性があるのをご存じでしょうか。思わぬ事故につながらないよう、古い消火器の適正な処分方法について解説します。

目次

古い消火器にはどんなリスクがある?

一般家庭にある消火器の4本に1本が期限切れ

消火器は日常的に使用するものではないため、長年放置してしまいがちですが、食品の消費期限のように、消火器にも使用期限、耐用年数があるのをご存じでしょうか。業務用の消火器は10年、住宅用の消火器は5年とされており、容器に「使用期限」あるいは「品質保証期間」として表示されています。期限が切れてしまうと、いざというときに使えないだけでなく、古い消火器には腐食や破損がある場合も多いため、破裂事故を招く恐れもあるのです。

2022年のデータによると、消火器リサイクルシステムが始まる2009年以前に製造され、使用期限が切れた消火器が、市中に約1800万本も残っていると見られています。また、2016年のデータでは、一般家庭にある不用な消火器は、4本に1本が期限切れであるとされ、安全面で注意喚起されているのが現状です。

負傷だけでなく死に至るケースも

消火器の破裂事故のデータを見ると、平成12年から平成21年の10年間で、破裂事故は26件、そのうち負傷者は22名、死者が3名となっており、死につながる大きな事故の危険性もあることがわかります。その多くが消火器を屋外や水回りなどの湿気が多い場所に長い間放置した結果、消火器を腐食させたことが原因のようです。腐食した消火器を操作すると容器の中の圧力が急激に上がり、破裂につながります。具体的な事故の状況としては、以下のようなケースが報告されています。

<消火器の破裂事故の例>

納屋の軒下に置かれていた消火器を自ら廃棄しようと操作したところ破裂

建物裏に野ざらしにされていた消火器を廃棄のため放出したところ、本体底部が破裂

下水へ流そうと安全栓を抜き、レバーを握ったところ破裂

消火器を分解中、口金が割れてガスが噴出し、中身が飛び出した

子供が遊んでいたところ、屋外駐車場におかれていた消火器が破裂

破裂事故は加圧式消火器がほとんど

消火器には加圧式と蓄圧式の2種類あり、破裂事故の多くは加圧式消火器によるものです。市販されている消火器の約83%が加圧式なので、一度設置環境も含めて確認しておくとよいでしょう。

■加圧式消火器

内部にガスボンベを内蔵。レバーを操作するとボンベが破封し、その圧力で薬剤を放出。使用時に一気に加圧されるため、老朽化で容器が破断すると大きな反力を生じ危害を与える恐れがある。

消火器画像01_加圧式.png


■蓄圧式消火器

容器内部にあらかじめガスを充圧。レバー操作によりバルブを開き、薬剤を放出。老朽化で本体容器が腐食すると小さな穴が空き、そこから内圧が漏れ出す。反力がそれほど大きいものでないため周囲に危険を及ぼす恐れが少ないと予想されている。

消火器画像02_蓄圧式.png

※画像は総務省消防庁「老朽化消火器の破裂事故を踏まえた安全対策」より引用

期限切れの消火器を処分するにはどうすればよい?

期限切れの消火器の処分方法は3

設置している消火器の期限が切れている場合や、期限内であっても劣化が激しい場合は、安全面を考慮して早めに処分する必要があります。処分方法は大きく分けて3つありますので、処分しやすい方法を選んで依頼するとよいでしょう。

引き取りを依頼する
消火器を引き取ってもらいたい場合は、【特定窓口】へ依頼します。特定窓口とは、消火器の販売代理店(ホームセンターなど)や防災・防犯事業者のことで、全国に約5,000か所あります。直接窓口に連絡して依頼してください。こちらのサイトから、お近くの特定窓口を検索できます。

ご自身で持ち込む
消火器をご自身で持ち込みたい場合は、上記の【特定窓口】、もしくは【指定引取場所】へ依頼します。指定引取場所とは、消火器メーカー営業所や廃棄物処理業者のことで、全国に約200か所あります。特定窓口と同様に、こちらのサイトからお近くの指定引取場所を検索できます。

③ゆうパックで回収依頼する
個人の場合のみ、ゆうパックで回収してもらうことも可能です。事前の申し込み手続きが必要ですので、詳しくはこちらのサイトをご確認ください。

なお、消防署では消火器の引き取り・処分は行っていませんので、ご注意ください。また、2010年より前に製造された消火器にはリサイクルシールが貼られていないため、お近くの指定引取場所や特定窓口で購入する必要があります。

消火器は中身を出さなくても持ち込み・引き取りは可能

先ほどご紹介した事故の例にもあるように、古い消火器を廃棄するために、中身の薬剤を抜こうとする方もいるようですが、中身はそのままの状態で持ち込み・引き取りは可能です。容器が破損したり腐食したりした状態で操作するのは大変危険ですので、むやみに触らないほうが安全でしょう。また、自治体によっては「空の消火器は引き取ります」と告知しているところもあるかもしれませんが、無理な放出は危険ですのでご注意ください。

なお、設置している消火器がどんな状態か、以下の点を定期的にチェックするとよいでしょう。異変を見つけた場合は、直ちに特定窓口や指定取引場所にご相談ください。

消火器チェック項目.png

※参考:自ら行う消火器の点検報告

≪消火器の各種部品≫

消火器画像03_部品説明.png

※画像は総務省消防庁「老朽化消火器の破裂事故を踏まえた安全対策」より引用

持ち込み・引き取り依頼時の注意点

古い消火器を持ち込む際や引き取り依頼する際、中の薬剤が飛散したり漏れ出したりしないよう、適切に処置してから処分の依頼をすることが重要になります。適正なリサイクルを実現するためにも、排出前には必ず以下をご確認ください。

■安全栓がある場合
ストッパーが固定されるように安全栓を正しくセットしてください。

消火器イラスト01_.png

■安全栓がない場合
安全栓がない場合はストッパーをテープなどで固定してください。

消火器イラスト02.png

■中身が漏れている場合
中の薬剤などが漏れている場合は、ビニール袋に入れてください。

消火器イラスト03.png

※消火器イラストは「消火器リサイクル推進センター」より引用

回収された消火器はどこへ行くのか?

消火器がリサイクルされるまでの流れ

事業所や家庭から排出された廃消火器は、(一社)日本消火器工業会の広域認定制度※のもとで運用されている「廃消火器リサイクルシステム」の参加事業者によって再資源化されます。

広域認定制度とは?

廃棄物の処理を製造事業者等が自ら行うことで、対象となる廃棄物の適正処理およびリサイクルを促進するために設けられた制度。広域認定を受けることで、通常は廃棄物処理事業を行う上で必要となる地方公共団体ごとの許可が不要となり、都道府県などの区域を超えた広範囲で廃棄物の適正な処理が可能となる

廃消火器リサイクルフロー

消火器リサイクルフロー.png

・指定引取場所・特定窓口:排出者から廃消火器を引き取る
・収集運搬業者     :引き取った廃消火器をリサイクル施設へ運ぶ
・リサイクル施設    :廃消火器の解体・選別を行う
・中間処理施設     :解体された金属や薬剤などの処理再資源化を行う
・各種メーカー     :再資源化された原料をもとに製品を作る

排出された消火器は指定引取場所や特定窓口などのリサイクル窓口に集められたあと、日本消火器工業会から委託された収集運搬業者によって全国に18か所あるリサイクル施設へと運ばれます。ここで廃消火器は本体容器、粉末消火薬剤、アッセンブリー(蓋や導入管等)といったパーツごとに解体・選別されます。さらにトレーサビリティの管理のためにバーコードが読み取られ、それぞれのパーツや素材を再資源化する施設へ運ばれるという流れになります。

廃消火器のリサイクル率は90%以上

廃消火器のリサイクルフローは2009年から始まり、今では再資源化率91.9%2022年度)と非常に高い割合を維持しています。特に本体容器は鉄やステンレス、アルミなどの金属でできているため、再資源化率は100%。中身の粉末消化薬剤も97%と高く、再生消化薬剤として精製し、新製品に利用されています。また、鉄や真鍮などでできたアッセンブリー(蓋や導入管等)は91.6%で、溶解処理され新しい金属製品として生まれ変わります。

適切なリサイクルで循環型社会に貢献

適切な消火器リサイクルのために日頃の点検を

ここまでご紹介してきたように、消火器は適正な処理を経て90%以上がリサイクルされるようになりました。消火器リサイクルシステムが確立する以前は処理困難物として放置されることが多かったため、大きな進歩と言えます。

しかし一方で、市中には期限切れや不備などで使用困難である不要な消火器が多く存在しています。危険な状態で放置されていると、設置場所の周辺だけでなく、収集運搬や中間処理の過程でも事故のリスクが高まります。このようなリスクを減らすためには、日頃から定期的に消火器をチェックし、期限が切れたらすぐにリサイクルに出すことが求められています。

違法な不用品回収業者にご注意を

消火器の適正リサイクルのためには、認可を受けた業者に依頼することも重要です。認可を受けていない業者のなかには、回収費用だけ徴収し、山の中に不法投棄するような悪質な業者が多いのも事実です。不法投棄による環境汚染や破裂事故のリスクを回避するためにも、必ず指定引取場所や特定窓口に相談しましょう。

消火器の容器をリサイクルするリバーグループ

私たちリバーグループでは、消火器の容器に用いられる鉄や非鉄などをリサイクル施設から引き取り、適正処理のうえ再資源化しています。適切で安全な消火器リサイクルを推進するためには、排出者の皆様のご協力が不可欠です。消火器を処分する際には、ご紹介したポイントを今一度ご確認のうえ、処分をお願いいたします。

また、当社グループでは金属スクラップだけでなく、建築現場などから排出される産業廃棄物や自動車、家電、小型家電などを、収集運搬から中間処理、選別まで一気通貫で行うことが可能です。高度なリサイクル技術により再資源率を高め、循環型社会の実現を目指しています。

リバーグループの詳しい事業内容は、こちらをご覧ください!

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