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リサイクル最前線 そうだったの?リサイクル

日本のリサイクル率はどれくらい?素材や品目ごとの現状を解説 

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近年では使用済みのペットボトルやアルミ缶などは、分別してリサイクルするのが当たり前になりました。また、リサイクルが難しく焼却処分されていた素材についても研究が進み、徐々に再資源化されるようになっています。本記事では、日本における素材別・品目別のリサイクルの現状をご紹介します。

目次

日本の素材別リサイクル率は?

家庭や企業から排出されるものにはさまざまな種類がありますが、ここでは身近な素材に絞り、それぞれのリサイクル率を見ていきます。なお、素材・品目によってリサイクル率の算出方法や定義が異なるため、それぞれの算出方法についてもご紹介します。



ペットボトルのリサイクル

ペットボトルのリサイクル率は、「再資源化されたペットボトルの量」を、「ペットボトルの販売量」で割って算出されます。2023年度は85%で、前年度の86.9%より若干低下しましたが、ここ10年で見ると高い水準を維持しています。

全国清涼飲料連合会では、ペットボトルの資源循環をさらに前進させるために「ボトルtoボトル」の取り組みを始めています。「ボトルtoボトル」とは、ペットボトルを別の商品ではなく、元と同等の品質のペットボトルに戻して何度もリサイクルすること。「ボトルtoボトル」のリサイクル率は全販売量に対し15.7%(2020年度)で、今後リサイクル技術の確立・拡大を進め、これを2030年に50%まで引き上げることを目標に掲げています。2022年度までは国内での再資源化量は増加傾向でしたが、2023年度は海外への輸出が増え、海外再資源化量が増加しています。
使用済みペットボトルは家庭から排出され自治体が回収するものと、事業系として自動販売機、オフィス、スーパー・コンビニなどから排出されるものと2種類あります。これらのペットボトルは「指定ペットボトル」と国から規定されているもので、付着した内容物の残りやにおいを取るために消費者にとってすすぎ易いものが選ばれています。そのため、食用油のような簡単に洗浄ができない用途のものはプラスチック製容器包装に区分され、ペットボトルリサイクル率には含みません。

参考:PETボトルリサイクル推進協議会



プラスチックのリサイクル

包装・容器類や、電気・機械、衣類、建材など、さまざまな分野から排出された廃プラスチックのリサイクル率は、「有効利用されている廃プラスチックの量」を「廃プラスチック総排出量」で割って算出されます。2022年度は87%と、2012年度の80%から10年間で見ると少しずつ上昇しています。廃プラスチックの「有効利用」とは、マテリアルリサイクル(材料へ再資源化する方法)、ケミカルリサイクル(化学的に分解し原料として再資源化する方法)、サーマルリサイクル(廃棄物から得られる熱エネルギーを回収・再利用する方法)のことで、単純焼却や埋め立てされているものを除き、何らかの形で利用されているものを指します。内訳は、マテリアルリサイクル率22%、ケミカルリサイクル3%、サーマルリサイクル62%と、サーマルリサイクルが圧倒的に高いことがわかります。サーマルリサイクルでは、廃プラスチックを焼却して発生した熱を発電などのエネルギー源として利用したり、固形燃料化(RPFなど)やセメント原・燃料化したりするなど、複数のリサイクル手法があります。
一方、海外ではサーマルリサイクルをリサイクルに含めないケースも多く、日本がサーマルリサイクルをリサイクルとしていることによって、廃プラスチックのリサイクル率が引き上がっていることへの批判もあります。
いずれにせよ、廃プラスチックは適性に合わせて有効利用されています。

参考:「プラスチックリサイクルの基礎知識2024」(一般社団法人プラスチック循環利用協会)



缶(アルミ・スチール)のリサイクル

アルミ缶のリサイクル率は、「国内でリサイクルされたアルミ缶の重量」と「海外に原料として輸出されたアルミ缶の重量」との合算を、「国内で消費されたアルミ缶の重量」で割って算出されます。2023年度は97.5%と高水準で、そのうち再びアルミ缶として生まれ変わる「CAN to CAN」率も73.8%と高水準であるのが特徴です。アルミ缶からアルミを製造すると、鉱石から製造する場合に比べて、消費電力、排出する二酸化炭素量共に約3%に抑えることができます。また、さびにくい特性からアルミ製品は比較的長期間の使用が可能です。アルミはリサイクルにより環境負荷を大きく低減することのできる素材です。
スチール缶のリサイクル率も、再資源化量を消費量で割って算出されます。2023年度は93.5%とアルミ缶同様に高水準です。スチール缶スクラップは高品質なので、建築、自動車、家電など、様々な製鋼原料として高い評価を得ています。

参考:アルミ缶リサイクル協会
   スチール缶リサイクル協会

 

紙のリサイクル

紙のリサイクル率は、古紙利用率として、「古紙消費量」を「紙全体の生産量」で割って算出されます。2023年度は66.8%で、世界でもトップクラスの水準になっています。これには古紙から異物を除去する技術や古紙の回収システムが優れていることが影響しています。回収率も81.6%と非常高く、約50年間で古紙回収率は2倍になっています。また、国内で消費しきれない古紙は海外に輸出され、世界の紙リサイクルを支えています。

参考:公益財団法人古紙再生促進センター

 

家電のリサイクル

エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機の4品目は、「家電リサイクル法」によってリサイクルが義務づけられています。そのため、リサイクル率ではなく、回収率がポイントになります。4品目の回収率は、「適正に回収・リサイクルされた台数」を「出荷台数」で割って算出されます。2022年度は70.2%と例年通り高水準で、合計約1,495万台が回収されました。一方で不法投棄される廃家電も多く、その数は約4万台と推計されています。特にテレビが61.2%と最も多く、次いで冷蔵庫22%、洗濯機14.9%、エアコン2%となっています。家電は法律によって厳しく管理されているため、他の品目よりトレースしやすいものの、依然として不法投棄が絶えないことが課題となっています。

参考:環境省

 

小型家電のリサイクル

家電4品目以外の電化製品は、「小型家電リサイクル法」によってリサイクルが促進されています。小型家電とは、パソコン、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、ゲーム機などのことで、家電リサイクル法のように明確に品目が指定されているわけではないため、さまざまな種類があります。小型家電の中にはレアメタルや有用金属が含まれているため、非常に重要な資源です。
2020年度の回収量は102,498トンで、そのうち2,009トンはリユースに回ります。それ以外は認定事業者によって処理され、52,222トンの金属と7,529トンのプラスチックが再資源化されています。

参考:経済産業省

 

自動車のリサイクル

使用済自動車は「自動車リサイクル法」によって厳密に管理され、そのほとんどのパーツがリサイクルされています。エンジンやドア、トランスミッションなどの使える部品はリユース部品として再利用され、エアバック類は金属部分を取り出して資源として再利用されます。さらにボディなどはシュレッダーで破砕して資源化されます。金属類を回収した後に残るゴムやプラスチックなどのシュレッダーダストは、かつては埋め立てなどの最終処分に回っていましたが、近年リサイクルが進み、2022年度は96.8%のリサイクル率を達成しています(ただしその大半はサーマルリサイクル)。これはおよそ車1台あたりの最終処分量が6kgという計算になり、非常に無駄の少ないリサイクル方法を確立していると言えます。このため、日本の自動車リサイクルの現場には、毎年世界中から見学者が訪れており、学びの場となっています。

参考:公益社団法人自動車リサイクル促進センター


日本のトップリサイクラーをめざすリバー

素材別にリサイクルの現状をご紹介してきましたが、家庭や事業者、リサイクラーの努力によって、日本のリサイクル率は非常に高い水準を保っています。一方で、自治体によって回収率や回収の質に差があることや、未だに最終処分されるものも少なくないことなどは、解決すべき課題として残っています。また、現状ではリサイクルが難しいものもあるため、企業の研究開発に期待が寄せられています。

トップリサイクラーをめざすリバー株式会社は、家電リサイクル、小型家電リサイクル、自動車リサイクルを中心とした事業を行っており、親会社であるTREグループ全体のリサイクル率は92%(2023年度)を達成し、高度循環型社会へ貢献しています。
さらにリサイクル技術を高めるべく、これまでリサイクルが難しかった廃プラスチックについても、再資源化や資源循環スキームの確立にむけて、選別技術の深化や動脈企業との連携などによる課題解決に向けた取り組みを行っています。


リサイクルについてお困りの際は、ぜひご相談ください。

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