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自動車リサイクル最前線! ELV川島事業所 プラスチック専用破砕機導入

2024年05月14日

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自動車由来のプラスチックリサイクルに期待が集まる中、リバーELV川島事業所では使用済自動車のバンパーや内装材など、金属を含むプラスチック部材の破砕が可能な「プラスチック専用破砕機」を導入いたしました。今回の記事では、本機導入の経緯と狙いについてご紹介します。

目次

「プラスチック専用破砕機」導入の背景 自動車リサイクルを取り巻く動きについて

2023年7月、EUでは新車製造に使用されるプラスチックの25%にリサイクル材を使用することが義務付けられ、さらにそのうちの25%、つまり全体の約6%分は使用済自動車由来からのリサイクル材でなければならないとしています。本規制は2035年にかけて段階的に導入され、欧州の市場に自動車を販売している日系自動車メーカーも対応を迫れる形となります。

自動車工業会の統計データ(※)によると、日本で製造される4輪の車両台数は1年間で約783万台となり、日本から欧州に輸出する台数は年約55万台になります。一般に車両1台あたり約200kgのプラスチックが使用されていると考えられており、これに25%のリサイクル材使用規制が適用された場合、約3万トンのリサイクル材を使用しなければならない計算になります。また、もし仮に日本やその他の国で同様の規制が発令され、製造する約783万台すべてにリサイクル材を使用するとなった場合、必要なリサイクルプラスチックはなんと約40万トンに上ります。

欧州での動きが活発になるなか、実際、日本では日本自動車工業会を中心に使用済自動車のプラスチックとガラスのリサイクルを推進させるべく、「資源回収インセンティブ制度」が2026年より開始予定の方向で議論がされています。本制度では、主に自動車解体時にプラスチックやガラスを取得し、リサイクルした場合にインセンティブが付与される仕組みが想定されています。使用済自動車由来のプラスチックの活用の議論が活発化しています。

(一社)日本自動車工業会 統計・資料「四輪車」より

「プラスチック専用破砕機」の特徴

プラスチック専用破砕機画像1.jpg

今回導入したプラスチック専用破砕機の特徴はビスやねじなどの金属が付属したものでも破砕ができる点にあります。メインで投入するものとして、バンパーや内装材などを想定していますが、金属等の異物を手で取り除かずにそのまま破砕機に投入することができます。多くのプラスチック専用破砕機では、金属等の硬いものが混入すると刃が欠けてしまい、破砕機自体が破損してしまいますが、金属等が混入していても破砕できる点が選定の理由の一つになっています。また、磁力選別機も併設することで、鉄分を回収することが可能です。



破砕されたバンパー画像2.jpg

▲破砕されたバンパー 約50



▼磁選機で回収された鉄画像3.jpg

▲磁選機で回収された鉄

プラスチックを破砕する理由

プラスチックを破砕する理由は主に2つあります。

  • つ目の理由は、プラスチック以外の異物を分離しやすくするためです。
    様々な製品は1つの素材でできておらず、複合素材でできていることが多くあります。今回のバンパーや内装材も鉄やゴム、違う種類のプラスチックが使用されており、それらを後工程で選別しやすくするために破砕を行います。

  • つ目の理由は、物流効率を上げるためです。
    プラスチックの特徴の一つが「軽い」ということがあげられますが、物流面でいえば嵩比重が低く、物流効率が悪くなります。バンパーでいえば、破砕しない状態では、10トントラックに積み込むことができるバンパーは2トン程度にしかならず物流コストが上がってしまいます。破砕して密度を上げることによって、物流コストの低減をすることが可能となります。

今後の展開

年間約1万台の使用済自動車を解体するELV川島事業所から取得するバンパーや内装材などのプラスチックを、破砕・選別し、樹脂選別ラインを持つリバー那須事業所と連携してプラスチックの高度なリサイクルを目指します。今後、他の解体業者からのプラスチックパーツなどを買い付け、使用済自動車由来のリサイクルコンソーシアム構築に向けて活動を進めて参ります。

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