埼玉大学でサーキュラーエコノミーを講義―静脈産業が担う役割と日本の現状―
2025年12月17日

国・政府が主導し、サーキュラーエコノミー社会の実現に向けた動きが加速する中、循環型社会の基盤を支える存在として、静脈産業の重要性があらためて注目されています。一方で、その役割や将来性、そして技術的な可能性については、まだ十分に知られているとは言えません。
リバー株式会社では、サーキュラーエコノミーの実現には、静脈産業における選別などの技術高度化が不可欠であり、それを担う技術者の存在こそが鍵になると考えています。また、動脈産業と静脈産業の連携が進む中で、技術ノウハウや知的財産をどう守り、どう活かしていくかという視点も、今後ますます重要になります。こうした問題意識のもと、先日、埼玉大学で開講されている「技術者のための産業経営特論」において、執行役員 事業統括部長の山下勇一郎が講義を行いました。
目次
技術者にこそ伝えたい、サーキュラーエコノミーと静脈産業のこれから
「技術者のための産業経営特論」は、は技術経営の基本概念をはじめ、技術の価値や特許・ノウハウ・商標といった知的財産権、日本経済の現状と将来像、企業経営の実態などを学び、これからの社会で求められる技術者像を考察することを目的とした講義です。
今回の登壇での講義テーマは「サーキュラーエコノミーの実現に向けた静脈産業の役割期待」についてです。
当社がこのテーマを選んだ背景には、サーキュラーエコノミーが国策として進む一方で、その実装を担う静脈産業の技術的・人的基盤が、今まさに転換点に立たされているという危機感があります。
特に、選別技術をはじめとする現場技術を高度化できる技術者の存在や、動静脈連携が進むことで重要性を増す知的財産への意識は、これからの産業を支える技術者にこそ知ってほしいテーマです。
日本の静脈産業が抱える構造的な課題
講義ではまず、日本の静脈産業の現状について説明しました。
日本の静脈産業は、廃棄物の回収・選別・再資源化を担い、循環型社会を支える重要な役割を果たしています。一方で、中小零細企業が多いという業界構造から、資本力や人材、技術投資に制約を抱える企業が多いのも実情です。
日本では家電リサイクル法や資源有効利用促進法などの法制度の整備が進み、リサイクル率も高水準を維持しています。
しかし、現状では、
- 再生資源の質的向上が十分でないこと
- 人材不足やデジタル技術導入の遅れ
- 少子高齢化による労働人口の減少
- 回収資源の海外流出
といった課題が顕在化しています。
単にリサイクル率を高めるだけではなく、「どれだけ質の高い循環を実現できるか」が、今後のサーキュラーエコノミーの成否を左右します。
サーキュラーエコノミーの実現の鍵を握る選別技術
こうした課題を解決する上で欠かせないのが、選別技術の高度化です。
プラスチックや金属を種類ごとに正確に選別することで、再生材の品質が向上し、安定した資源循環が可能になります。
日本政府もサーキュラーエコノミーを国家戦略として掲げており、その中では、
- 動脈産業と静脈産業の連携
- 技術開発の推進
- 自動化・ロボット化
が重要視されています。
製品設計の段階からリサイクルを前提とした仕組みを組み込み、動静脈が連携して技術開発を進めることで、循環型社会の基盤は大きく強化されます。
講義では、サーキュラーエコノミーに貢献するTREグループの事業についても紹介しました。
学生の声から感じた確かな手応え
授業終了後、学生のみなさんには
「本日の講義を聞いて資源循環やサーキュラーエコノミーに関して改めて感じたこと、考えたこと」をテーマにレポートを提出してもらいました。
レポートからは、静脈産業の重要性や役割について深く考えてくれた様子が伝わってきました。
印象的だった学生の声
■「技術者として、新しい製品を生み出すだけでなく、資源を循環させる仕組みを意識した開発が必要だと感じました」
■「日本が遅れているという話を聞き、日本人として悔しさを感じました」
■「今回の講義で初めて静脈産業という言葉を知りました」
■「地元に日本最大級の電子廃棄物を扱う事業所があると知り、静脈産業に興味を持ちました」
■「技術者にとってこのような話は将来とても大切になると思うため今のうちから資源循環などの最新の技術や話題に積極的に触れていくという姿勢を持っていこうと思った」
こうした率直な声から、今回の講義が学生の意識に確かな変化をもたらしたことを感じています。
サーキュラーエコノミーの実現に向け、社会と歩む企業へ
今回の埼玉大学での講義を通じ、静脈産業が果たす役割やサーキュラーエコノミーの重要性について、次世代を担う学生のみなさんと考える貴重な機会を得ることができました。
資源循環の質的向上、人材不足、技術革新の遅れなど、日本が直面する課題は決して小さくありません。しかし、動脈産業と静脈産業の連携を深め、高度選別技術の開発を進めることで、循環型社会の実現は十分に可能だと考えています。
当社は今後も、現場で培ってきた知見を社会と共有し、産学連携や人材育成を通じて、持続可能な未来づくりに貢献してまいります。
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