
トップ対談 高度循環型社会の実現を目指して―共同持株会社「TREホールディングス」を設立(前編)
2021年09月27日

リバーホールディングス(株)と(株)タケエイは、
2021年10月1日に共同持株会社「TREホールディングス(株)」を設立しました。
日本の静脈産業をリードする両社の経営統合は日本の産業・社会・経済にこれから、どのようなインパクトをもたらしていくのでしょうか。
設立の意図・ねらい、さらには中長期的に見据えている未来について
新会社の経営をリードする両社の社長にお話しいただきました。
目次
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阿部光男 |
株式会社タケエイ 代表取締役社長 TREホールディングス株式会社 代表取締役社長 |
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松岡直人 |
リバーホールディングス株式会社 代表取締役社長執行役員 TREホールディングス株式会社 代表取締役会長 |
TREホールディングス設立による経営統合の背景、意図・ねらい
高度循環型社会の実現にむけて、互いの強みを相互で補完し合う
松岡 一言で申し上げれば、「志」を一にする両社が手を握ったということです。今回の共同持株会社「TREホールディングス(株)」の設立は、日本の静脈産業を変革し、動脈産業や消費社会、投資市場、そして行政・自治体と連携・協働しながら、高度循環型社会の実現に向けた気運をという我々の覚悟と決意の表れとご理解いただけると幸いです。
阿部 松岡社長の仰る通り、両社が「志」を同じくしていたという点が大きいですね。私ども(株)タケエイ(以下タケエイ)は「資源循環型社会への貢献を目指す」を経営理念に掲げ、産業廃棄物処理事業を主業としながら、近年はバイオマス発電などの再生可能エネルギー事業、環境エンジニアリング事業などへと事業領域の拡大を図り「総合環境企業」としての進化を目指してきました。この先もしかしながら、それでは我々が抱いているビジョンを実現するまでに、極めて長い時間を要することになります。一方で、地球環境問題は深刻化しており、その対応は待ったなしの状況になりつつあります。今回のリバーホールディングス(株)(以下リバーグループ)との経営統合は「高度循環型社会の実現」に向けた気運を高めたいという想いが大きな動機です。
松岡 私どもリバーグループの考えも同じです。1社単独ではどうしても限界があります。リバーグループは「地球を資源だらけの星にしよう。」を企業理念に掲げ、持続可能な社会「高度循環型社会」の構築を目指しています。祖業である金属リサイクル事業を基幹事業として、廃家電、使用済自動車、廃自販機、廃プラスチック、産業廃棄物の処理・再資源化までを担う「総合リサイクル企業」を目指してきました。そういう意味で、タケエイの経営理念や事業戦略とリバーグループのそれは符合していた訳です。
阿部 タケエイもリバーグループも「循環型社会の実現」を見据えて、静脈産業事業者として「総合化」を志向してきました。しかし、両社の強みは異なります。リバーグループには、金属リサイクル事業者として100年以上わたる歴史があり、関東圏を地盤に確固たるプレゼンスを確立しておられます。一方、タケエイは、建設系を中心とした産業廃棄物処理に強みを持っており、さらに近年では再生可能エネルギー事業にも注力するなど業容を拡大しています。また、首都圏に加えて東北・北陸・甲信エリアところも特長の一つです。このようにお互いが強みを持つ事業領域や事業エリアが異なっていることは経営統合における大きなポイントです。
松岡 つまり、リバーグループとタケエイは、相互に補完し合える関係にあるという訳です。たとえば、リバーグループは、鉄スクラップをはじめさまざまな金属リサイクルを強みとしている一方で、廃プラスチックリサイクルに関する知見・ノウハウが不足しているという課題があります。廃プラスチックリサイクルは世界的な環境課題となっており、近年その課題解決に向けた技術的な対応が社会的に求められています。タケエイは、廃プラスチックリサイクルに関する高度な技術や設備を保有しておられます。今回の経営統合により我々が不足している技術・設備が補完されるというメリットがもたらされる訳です。
阿部 タケエイ側から申し上げると、たとえば建築廃棄物リサイクルにおける補完効果が挙げられます。我々は、建設現場から排出される産業廃棄物の処理・リサイクルに強みを持っています。しかしながら、建設廃材に含まれる鉄などの金属廃棄物については、その処理・リサイクルを全量当社に委託されている訳ではありませんでした。今回の経営統合により、金属リサイクルに強みを持つリバーグループとの間でクロスセリングが可能になり、建設廃棄物リサイクルのワンストップソリューションを提供できるようになります。
2社の”化学反応”で「リサイクル事業の深化」「再生可能エネルギー事業の推進」を
松岡 経営統合による相互補完は大きなメリットですが、ねらいはそれだけではありません。中長期的には双方が持つ経営を融合することで、「リサイクル事業の深化」や「再生可能エネルギー事業の推進」をテーマに相乗効果を発揮していくことを見据えています。リバーグループにもタケエイにも意欲と専門知識に長けた優れた人財がいます。両社の人財が協働することで生まれてくる“化学反応”に大いに期待しています。
阿部 そうした“化学反応”を生み出す環境づくりの一環として、両社横断型の分科会を設置しました。この分科会では両社の従業員が意見を交わしながら、TREホールディングスとして「短期的に取り組むべきテーマ」と「中長期的に取り組んでいくべきテーマ」を抽出し、。従業員のモチベーションは高く、日々、活発な議論が交わされています。これも「志が持つちから」と感じています。
松岡 また、経営統合のもう一つの大きなねらいは「効果的・効率的な投資の実践」です。気候変動問題や廃プラスチック問題、資源・エネルギー問題などの地球環境問題への技術的対応は待ったなしの状況にあります。これらの課題解決に静脈産業として貢献していくためにはCO2排出削減技術や廃棄物発電技術、廃プラスチックリサイクル技術などの技術的対応力の強化が必要不可欠です。つまり静脈産業には今後、これまで以上に大規模な「研究開発投資」「設備投資」が求められます。これまで、静脈産業事業者としてそれぞれ「総合化」を志向してきた両社ですが、こうした状況の下、個々に投資を行うよりも両社が経営統合することで、より効率的・効果的な投資が可能になると考えました。
阿部 さらに今回の経営統合の重要なポイントは、「共同持株会社」の設置という形式を採ったという点です。たとえば、企業買収による経営統合を行うと、膨大な資金を要するほか、経営統合後のPMI※にも多大なる時間と体力を要します。我々はこうした資金や時間・体力は、地球環境問題の解決に割り当てていきたいと考えています。タケエイとリバーグループが”対等の関係“で共同持株会社TREホールディングスを設立した理由は、ここにあるのです。
(※Post Merger Integration の略。M&A後の統合効果を最大化するための統合プロセス。)
松岡 ちなみに「TREホールディングス」という社名には、「地球環境の保全(Earth/Ecology)のために、新たな技術開発(Technology)とリサイクルの深化(Recycling)、エネルギー事業の推進(Renewable Energy)に挑戦(Try)する」という意味を込めています。この社名は両社内で公募し、従業員の投票により決定しましたが、ステークホルダーの皆様からも新会社の「志」を表現した良い社名だというお言葉をいただいています。
後編はこちらから
こちらのトップ対談が掲載されておりますサステナビリティレポート2021はリバーホールディングスのHPにて公開しております。
本レポートは、当社理念である「地球を資源だらけの星にしよう。」の達成のため、持続可能な地球・社会の実現に向けた活動の進捗を「E:環境」「S:社会」「G:ガバナンス」の視点に沿って紹介しています。
ぜひご覧ください!